第79話

今度こそ
6,439
2021/03/11 08:15
みんなから少し離れた場所にある瓦礫に手を伸ばし、1つどかしてみる。

もう1つ

もう1つ

見えてしまった。
探していたはずなのに、見つけたくなかった。

瓦礫の下に見えたのは血まみれの黄緑色。
がむしゃらにどんどん瓦礫をどかしていくうちに見えたのは

栗色の髪の毛。
汚れた焦げ茶色のブーツ。

間違いない。ゾムさんだ。
ショッピ
ショッピ
ゾムさんっ…!
ショッピ
ショッピ
……無茶するからっ!
ロボロ
ロボロ
ショピくん…?
不安気に尋ねてくるロボロさん。

ロボロさんに続いてこちらを覗く3人。
鬱先生
鬱先生
嘘…!?
ショッピ
ショッピ
不吉なこと言わんといてくださいよ。
生きてはいますよ、、、
ゾムさんの手をとる。
少しだけ温かくて、安心する。
ショッピ
ショッピ
…急がないと、、、此処は、皆さんに任せます。
ゾムさんを抱えて走り出す。

2人目のゾムークを倒した後も、俺はゾムさんを抱えて走っていた。そう、「自分のせいで」という自責の念や罪悪感を振り払うように。

あの時、ゾムさんを救って見せると誓ったのに、俺は無力で…何にもできなかった。

あの時と、とても似ている状況。
でも、終わりだけは…変えてみせる。

今度こそ、絶対に救ってみせる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゾムside
目を開くと、見渡す限り真っ暗な空間が広がっていた。
深い、深い海の底にいるみたい。

此処はどこ?

辺りを探索しようとするが、体が自由に動かない。

嗚呼、ここは、きっと…夢の中だ。

爆弾をまともに食らってすぐに意識が戻るわけがないじゃないか。

何もできず、ただただぼーっと上の方を見つめてると、紫色の光が見えた。

「ショッピくん」の色やな。

ずっと俺を信じてくれた大切な仲間。

手を伸ばしたくても伸ばせなくて。

俺は、再び夢の中でも深い眠りについた。

いろは(作者)
いろは(作者)
雑談部屋の最新話でアンケート実施中。
答えてくださると嬉しいです。

追記…アンケートは垢持ってない人でもできます。

プリ小説オーディオドラマ