みんなから少し離れた場所にある瓦礫に手を伸ばし、1つどかしてみる。
もう1つ
もう1つ
見えてしまった。
探していたはずなのに、見つけたくなかった。
瓦礫の下に見えたのは血まみれの黄緑色。
がむしゃらにどんどん瓦礫をどかしていくうちに見えたのは
栗色の髪の毛。
汚れた焦げ茶色のブーツ。
間違いない。ゾムさんだ。
不安気に尋ねてくるロボロさん。
ロボロさんに続いてこちらを覗く3人。
ゾムさんの手をとる。
少しだけ温かくて、安心する。
ゾムさんを抱えて走り出す。
2人目のゾムークを倒した後も、俺はゾムさんを抱えて走っていた。そう、「自分のせいで」という自責の念や罪悪感を振り払うように。
あの時、ゾムさんを救って見せると誓ったのに、俺は無力で…何にもできなかった。
あの時と、とても似ている状況。
でも、終わりだけは…変えてみせる。
今度こそ、絶対に救ってみせる。
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ゾムside
目を開くと、見渡す限り真っ暗な空間が広がっていた。
深い、深い海の底にいるみたい。
此処はどこ?
辺りを探索しようとするが、体が自由に動かない。
嗚呼、ここは、きっと…夢の中だ。
爆弾をまともに食らってすぐに意識が戻るわけがないじゃないか。
何もできず、ただただぼーっと上の方を見つめてると、紫色の光が見えた。
「ショッピくん」の色やな。
ずっと俺を信じてくれた大切な仲間。
手を伸ばしたくても伸ばせなくて。
俺は、再び夢の中でも深い眠りについた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!