俺は、自室に戻った。
部屋の隅っこで声を殺して涙を流す。
ふと、手元にあったナイフに目が止まる。
無意識に赤い線を引いていた。
紅に染まっていくのをそっと見つめる…
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ショッピside
俺は、今さっき自分に割り当てられた通常よりも少なめの書類を持って、執務室に向かう。
その途中、ゾムさんの部屋の前を通りかかった時…
バタッ
何かが倒れる音がする。
驚いて、返事を待たずに部屋の中に入ると…
紅に染まったゾムさんを担いで、医務室まで全力で走った。
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奥から出てきたしんぺい神さんは俺に担がれているゾムさんを見て、顔を硬らせる。
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ベットに寝かされているゾムさんを目の端で見ながら、尋ねられる。
《自傷》という言葉が頭に浮かぶ。
しんぺいさんは申し訳なさそうに首を振る。
少し気まずい雰囲気になる。
静かになった医務室に急に、声が聞こえた。
ゾムさんの目が覚めたようだ。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!