第2話

おめでとうとありがとう。α×Ω
319
2020/12/19 00:47


今回のお話しはBLになります。

こちらオメガバース作品です。
オメガバースが苦手な方は閲覧をやめることをおすすめします。


男性妊娠、子要素あり。

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▽▽


ひまり
はーっ…はっ…


乱れた息を整えるように大きく深呼吸し、汗で視界が滲む中我が子の産声に安堵する。



「おめでとうございます!元気な男の子ですよ」



胸元に渡された暖かな赤ちゃん。
ずっと会いたかった僕の赤ちゃん。
ひまり
赤ちゃん…僕を、お母さんにしてくれてありがとう…
己緒
っ!ひまり、おつかれさま、よく頑張ったね
ひまり
ありがとうっ…こーくん


ひまりと己緒こおは、運命の番。


1年前に結婚し、今日無事に第一子を出産した。


Ωは地位の低い存在、子を産むだけの存在。
そう、何度も差別されてきた日々。


そんな苦しい生活を送っていた時、当時大学生だった己緒に出会い、恋に落ちた。


だが、当時24歳の僕は大学生に恋をしてしまったことを深く後悔した。
年上で、しかもΩの僕なんて優秀なαは必要としないだろうから。
例えΩとお付き合いをすることになったとしても、とても綺麗な女性なんだろうなって自分で想像しては傷ついた時もあった。


でも…


そんな僕のことを好きって、愛してるって言ってくれた。


今日はそんな僕達の2年前のお話しを聞いてください__


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▽▽


ー2年前ー



「はぁ…また有給ねぇ…。Ωだから仕方がないけどね、こっちも金出して働かせてるわけ。そこの所考えてもらわないとねぇ…」
ひまり
すっ…すみません…



「最近は抑制剤?もあるんでしょ?だったらあれを飲めばいいじゃあないか。……それとも…」

ひまり
ひっ…

すっと手の甲を触られる。



「僕が相手をしてあげようか」



ゾッと身体中の鳥肌が立つのが分かる。


冗談じゃあない。50過ぎたおじさん、しかもセクハラ上司に身体を委ねるわけがない。
ひまり
いえっ…あの…やめてください…


無意識に手を振り払うと、不機嫌そうな顔で舌打ちされる。



「これだからΩは…」



…あぁ、またその言葉か。


嫌になる程聞いた、Ωを軽蔑する言葉。



▽▽



この世には、3つの種族がある。
いや、正しく言えば男女合わせて6つの種族だろうか。


3つの種族とは、α、β、Ωのことで、最も多いのはβ。その次にα、そして最も少ないのがΩの性を持つもの。


各種族にはそれぞれ特徴があり、βは種族が最も多い分社会的、経済的な面を支える。基本的には、サラリーマンや自経営をする人が多い。


そしてα、この世でもっとも社会的地位が高く、基本的能力が高いため期待される種族だ。生まれながらに優れた才能を持つαは、医者や弁護士、社長など、その能力を生かした仕事をしている。


最後に、僕達Ω。
僕達は最も少なく、社会的地位が最も低い存在。そしてαとβとは決定的に違う特徴がある。
男性Ωは、"妊娠"することが可能なのだ。
だからこそ、育児で会社復帰が難しいΩは、社会的に必要とされない。


社会的地位が低いのには、もう一つ理由がある。
Ωによって日数や間隔は異なるが、"発情期"というものがあるからだ。1週間程度続く発情期は、αとの性行為を求めて発情してしまい、性的な感情に陥ってしまう現象だ。
その時に分泌される"フェロモン"は甘く、αの意識を翻弄するまでの香りを放つ為、発情期の来る1週間は有給を取らなければいけない。
αに放ってしまう無意識のフェロモンから、性犯罪に巻き込まれるΩは多い。αでも、Ωのフェロモンには抗えないのだ。
性犯罪防止としても有給を取らなければいけないのだが、会社側としてはよく休むΩは邪魔な存在。


唯一、一生続くフェロモンの放出を止めることがてきる方法は、"番"を見つけること。αにうなじを噛まれ、番になったもの同士はフェロモンの放出をそのαのみにしか放たなくなる。
でも…そんな相手なんて僕はいない。


だから今だって社長は面倒くさそうに扱ってくる。


(僕だってこんな会社辞めたいけど、Ωの僕を唯一採用してくれた会社だから…)
ひまり
僕がもっと馬鹿にされないように、休んだ分頑張らないと


そう自分に言い聞かせで過ごす日々に、少しずつ疲弊してしまっているのに、当時の僕は気付いていなかった。


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▽▽

無事に発情期を終えた土曜日。今日から仕事復帰だ。
Ωの給料は低い為、土曜日や祝日だけ副職として駅のカフェで働いている。



(カフェの職員さんはΩも多いし、優しい方沢山でいいんだよね…)



Ωだからこそ共感できることを沢山話し合うのが毎週の楽しみ。
ひまり
おつかれさまです!今日もよろしくお願いしますっ


「ひま〜!体調はもう大丈夫?」


「疲れたら私も手伝いますからね!」
ひまり
皆ありがとう、体調は大丈夫だよ!


優しい仲間に囲まれて、胸が暖まる。


だからその分期待に応えようってやる気に満ちるから、頑張れるのだ。
ひまり
よしっ、今日も頑張りますか〜


エプロンを付けて、レジに立ち注文を伺う。


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▽▽


てきぱきと働き、気づけば数時間経っていた。



(…っ!そろそろあの子来る時間だっ)



そしてもう一つ、僕には楽しみがある。


土曜日の14時30分、毎週来る男の子に会うことだ。
僕よりも背が高くて、街を歩いていると二度見される程綺麗な顔立ちの男の子。いつもは持ち帰りの注文だけれど、数ヶ月に一度、コーヒーを頼み店内でレポート制作をする姿を何度か見るから、大学生なのだろう。
初めて見たとき、彼はαだと直感で気づいた。彼は自分とは違う世界を過ごしているんだろうな…と、羨ましく思っていたが、Ωの僕にも優しい彼と話すのが楽しみになっていた。


多くの人が歩く駅の通りをぼうっと見渡していた時、いつもの姿を見て背をぴんとさせる。



(きた…!)



ひまり
いらっしゃいませ
己緒
こんにちは
ひまり
今日は寒いですね〜
己緒
ですね〜、もうマフラーが手放せないです…
ひまり
ふふ、わかります。じゃあ今日は暖かい飲み物をご注文ですか?
己緒
はい、今日は…ミルクティーにします。あと、このスコーンもいいですか?2つ共持ち帰りで
ひまり
かしこまりました


この瞬間が、小さな楽しみ。


そして…この子からはいい匂いがする。



(良い香水付けてるのかな…)



やっぱり…αはその姿に見合うものを買うのだろうか。

ひまり
あのっ、いつも思っていたんですけど、良い香りの香水付けられてますよねっ
ひまり
お花の香りかな…?いつも良い香りだな〜って思っててっ…金木犀ですか?
己緒
えっ?
ひまり
ぁっ!すみません、変なこと聞いちゃって…
己緒
いえ、そんな。この香水、自分のご褒美に買ってるです
ひまり
ご褒美!いいですね。…ぁっ、ミルクティーできましたので、お渡ししますね
ひまり
スコーンは熱くなっていますので、お気をつけ下さい
己緒
ありがとうございます


後ろ姿を見送り、次のお客様への対応の準備をする。



フワッ__



花の香りがする。



(やっぱり…良い香りだ)


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▽▽


行き慣れたカフェを出て、俺は首を傾げていた。

己緒
いつもの店員さん…俺の香水、花の香りって…


金木犀の匂い…


さっきの言葉を思い出し、自分の手首を匂い、もう一度確認する。


だが、金木犀の匂いなんてしない。

己緒
俺の…
己緒
"せっけん"の香りの香水なんだけどな…


少しの疑問を抱えたまま、家に帰る__





















こんにちは、今回はオメガバースです〜!!こちらの作品は、あと一話あります!!
今回の作品で初めてオメガバースを知った方も、この機会に是非沼って下さい…ふふ((

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次回もこちらの続きです〜!!次回もお越しください〜!!

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