うらたside
あの後、俺は自分で考えたことを坂田たちに伝えた。
当然反対されたし、『俺が!いや俺が!』って争いが起きたけど、『提案者は俺だから、俺にやらせて』って説得した。
もし成功したら、俺は死ぬ。この世にいなくなるんだ。
悔いは沢山あるよ?でも、まーしぃが助かるなら、大事な仲間が助かるなら、良い。
グラグラグラ…
来た!
まーしぃとお互いを支え合いながら必死耐える。
まーしぃの体が投げ出されそうになると、俺はまーしぃを机の下に押し戻して自らの体を外へと投げ出した。
パリンッ!
蛍光灯が割れて、俺の上に降り注ぐ。
これでまーしぃは助かる…時間も元通りになるはず…
静かに目を閉じて自分の死を待った。
俺の体に激痛が走った。
だがこの激痛は、何かが刺さった痛みではない。一度ガラスが手に刺さったことがあるから知ってる。
これは…何かに衝突した時の痛み…?
俺は扉に寄りかかり、呆然としていた。
どうして俺は生きてる?どうして…
坂田が倒れてる?
血溜まりの中、ガラスを体に纏って。
まーしぃを見ると、センラに抱きしめられて、坂田は見えていない。
倒れた坂田を揺さぶり、俺は狂ったように叫んだ。
何度叫んでも、坂田は目を開けない。
顔から血の気が引き、誰が見ても死んでいるのは明らかだった。
神様、神様!!!!
どうかもう一度、時間を戻してください!
坂田を連れてかないでください!
視界の端でセンラの服をキュッと掴むまーしぃの手が見えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!