大我side
俺が声をかけたあの日からあっという間に月日は流れ
明日からはいよいよ夏休みだ.
早く北斗に会いたいという思いから
さようならの合図が終わった瞬間席を立って教室を出た.
ただ…
出た瞬間にクラスの男女何人かの奴らに腕を掴まれてしまったんだ.
〝おい京本。今日は帰るんじゃねえぞ?〟
〝夏休み前最後だからめちゃくちゃにしてやるか!〟
怖くて怖くて仕方なかった.
なんて情けないんだろう俺って.
今もこうやって女子に殴られてる.
『や、やめてっ!』
ほら、
こうやって勇気を出して拒否してもこいつらは俺をいじめ続ける.
〝こいつ私より白い〟
〝細すぎ〜へなへなじゃん〟
もうそんなの聞き飽きたよ.
あぁ死にたい.
嫉妬?妬み?理由なんて知らない.
ただただ女っぽい自分が嫌だったんだ.
奴らが俺から目を離した隙に走って逃げ出す.
『ハァハァ』
『これで死ねる…』
こうしてたどり着いたのは
いつもの海辺.
あと一歩踏み出せば
この辛さから解放されるの…?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。