北斗side
あの後俺は愛を確かめるようにハグをして、大我に気持ちを伝えた.
あの頃言えなかった
〝好き〟
の一言を口に出し大我も同じ気持ちだと知る.
俺たちは甘く青春の1ページを刻むようにキスを交わした.
あぁ、幸せだな、
大我に会えたんだな.
これからも生きていこうと思えたんだ.
ただその幸せもつかの間、
(北斗…)
「お、お父さん?」
(その男の子は誰なんだ?)
「…彼女」
『お義父さん、この度北斗くんと…』
バシッ
『っ……』
「お父さんなにやって!」
(こんな男が彼女だ?いい加減にしろ!)
「別に俺が誰を好きになろうと関係ないだろ!」
『…北斗………』
(男と付き合ったらお前が傷つく、分かってるだろ!?)
「いーや、俺は大我のこと…好きだから離さない、傷ついてもいい、大我といたい!」
『…俺からもっ、お願いしますっ!』
(北斗には幸せになってもらいたいんだ、それが叶うなら…いい。ただ、大我?くん、北斗を守ってくれ。それなら許してやる。)
案外単純だった父親だが、前に聞いたことがある.
昔は同棲愛者だったこと、
みんなに批判されて相手が辛くて亡くなったこと、
少しは分かってくれてるのかな、
俺は大我とこれからもずっといたいから、
「『ありがとうございます!』」
認めてくれる人ができて安心.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。