馴れ初めを知らぬまま薄紅差した宵時雨
朔に洗われて真白になれたら
押さなき日々は貴方の傍悠々夢の果て
今宵は誰がために踊るのでしょう霞む私は朧月
手繰り寄せる朱庵の糸口よあなたに続けと願う
華やかな景観に当てられ世人は連なる
悲しみは幾匁花は一匁
知らぬ吐息を浴び軋む帳
今は不香の花でありたい
顔のない人影に絆されて手おられてしまうのなら
袖口の手毬は転ぶ暗がりの方へ
ねぇお願いひとりにしないで雲間に消える
愛しい愛しいよと木霊した
日々は思う程にはるか
醒めぬ心に霏霏と六つの花
芽吹きとともに
あと人の元へ帰ろう
遊里にさく雪月花霞む私は朧月
手繰り寄せる朱庵のの糸口よ貴方に続けと願う
ちぎれぬ明日に契りなどない
薄づきの色
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!