第3話

あの夏が飽和する。カンザキイオリ
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2019/11/03 00:07
_作者@梅咲離価_
作者梅咲離価
誤字脱字許してください

読み仮名は随時
昨日人を殺したんだ君はそう言っていた

梅雨時ずぶ濡れのまんま部屋の前で泣いていた

夏が始まったばかりというのに君は酷く震えていた

そんな話で始まるあの夏の日の記憶だ

殺したのは隣の席のいつもいじめてくるあいつ

もう嫌になって肩を突き飛ばして打ち所が悪かったんだ

もうここにはいられないと思うしどっか遠いとこで死んでくるよ

そんな君に僕は言ったそれじゃ僕も連れてって

財布を持ってナイフを持って

携帯ゲームもカバンにつめて

いらないものは全部壊していこう

あの写真もあの日記も今となっちゃもう要らないさ

人殺しと駄目人間だめにんげんの君と僕の旅だ

そして僕らは逃げ出したこの狭い狭いこの世界から

家族もクラスの奴らも何もかも全部捨てて君とふたりで

遠い遠い誰もいない場所で2人で死のうよ

もうこの世界に価値などないよ人殺しなんてそこらじゅういてるじゃんか

君は何も悪くないよ

君は何も悪くないよ

結局僕ら誰にも愛されたことなどなかったんだ

そんな嫌な共通点で僕らは簡単に信じあってきた

君の手を握った時微かな震えも既になくなっていて

誰にも縛られないで2人線路の上を歩いた

金を盗んで

2人で逃げて

どこにでも行ける気がしたんだ

今更怖いものは僕らにはなかったんだ

額の汗も落ちたメガネも今となっちゃどうでもいいさ

あぶれものの小さな逃避行とうひこうの旅だ

いつか夢見た優しくて誰にも好かれる主人公なら

汚くなった僕達も見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?

そんな夢なら捨てたよだって現実を見ろよ幸せの

4文字なんて無かった今までの人生で思い知ったじゃないか

自分は何も悪くねぇと誰もがきっと思ってる

あてもなく彷徨さまよう蝉の群れに

水もなくなり揺れ出す視界に

迫り来る鬼たちの怒号どごう

馬鹿みたいにはしゃぎあい

ふと君はナイフを取った

君が今までそばにいたからここまでこれたんだ

だからもういいよもういいよ死ぬのは私一人でいいよ

そして君は首を切った

まるで何かの映画のワンシーンだ

白昼夢はくちゅうむを見ている気がした

気づけば僕は捕まって

君がどこにも見つからなくって君だけがどこにもいなくって

そして時は過ぎていったただ暑い暑い日がすぎてった

家族もクラスの奴らもいるのに何故か君だけがどこにもいない

あの夏の日を思い出す

僕は今も今でも歌ってる

君をずっと探しているんだ

君に言いたいことがあるんだ

9月の終わりにくしゃみして6月の匂いを繰り返す

君の笑顔が君の無邪気さが頭の中を飽和ほうわしている

誰も何も悪くないよ

君は何も悪くは無いからもういっそ投げ出してしまおう

そう言って欲しかったのだろう?なぁ。

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