第2話

プロローグ
3,667
2018/10/24 04:59
今日私は、生まれて初めて告白された。
夕陽に照らされた、放課後の屋上で。
秋の涼風が優しく頰を撫で、ヒグラシと芸術コースから聞こえる吹奏楽部の練習音が鳴き渡るなか。
向かい合って立つクラスメートの折坂くんが、私を見下ろして穏やかに微笑んだ。
折坂孝平
折坂孝平
長谷部 鈴さん。あなたが好きです。……僕と、付き合ってくれませんか
今までほとんど接点のなかった折坂くんの顔を初めて真正面から見て、ああ、折坂くんって結構整った顔してるんだな…ってことに気付く。
意思の強そうなスッと切れ上がった目尻。
秋風になびく、柔らかそうな黒髪。
そして、形のいい唇から紡がれた、告白の言葉。

──それはまるで。

少女漫画の1コマを切り取ったかのような。
恋愛ごとに疎い私でさえ眩暈がしそうなほど、キラキラした瞬間だった。

プリ小説オーディオドラマ