驚きで反応がワンテンポ遅れた
キヨが私の頭にかかったキラキラしたテープを取りながら笑う
目の前の光景が豪華すぎて上手く言葉が出てこない
会話に気を取られながらも見渡すと、やはりここは知っている場所だと気づいた
飾り付けられた部屋にはたくさんの料理が並んでいていい匂いが漂っていた
未だに混乱している私に向かってガッチさんが手招きする
キヨは私にさっき買ったばかりの服が入ったショップバックを差し出した
シュシュが入った袋も手渡された
よく分からないまま着替える
似合っているのかも分からない可愛い服とシュシュを付ける
扉から顔だけ出そうと少しだけ扉を開けようとした
自然に扉を開いてしまった
文句を言おうと口を開く暇もなしに褒められる
可愛い服のおかげだ
なんだか恥ずかしくなって声が小さくなる
ヒラに顔をおさえられた
首元に何かが掛けられた
解放され、首元を触るとネックレスが掛かっていた
猫のモチーフのネックレスがキラリと光る
ネックレスを握り、笑った
フジに手を引かれる
慌てたようなキヨの声を聞きながらリビングに入る
またもや褒められて恥ずかしくなる
きっと私の顔は真っ赤になっているだろう
そう言うとレトさんは嬉しそうにはにかんだ
ポソッとこぼれたような声に心臓がギュッと掴まれたようになる
目が離せない
キヨの声で我に返る
自分の横に座るようにとソファを叩いている
皆が座り静かになる
言いにくそうに視線をさまよわせたキヨは最後に私と目を合わせた
最後は早口で相変わらずの大声だった
グラスをぶつける軽い音が響いた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!