二人が私に向かって服をつきだす
タイプは違うが、どちらも可愛い
キヨが持ってきた服ももちろん可愛い
車が着いた先は大型のショッピングモールだった
平日だからか人は少ないように見える
真っ先に連れてこられたのは男物も女物も並ぶオシャレな服屋だった
成人男性三人が女性物の服を楽しそうに見ている姿はとても違和感があった
幸い他の女性客はいなかったため安心した
慌てるヒラに首を傾げる
キヨがジト目でヒラを見つめていた
キヨが店の奥を目線で示す
このまま立っているだけでは迷惑をかけるだけかもしれない
私は店の奥に足を進めた
大きな棚に隠れて見えなかったが、女性が二人いたらしい
会話が聞こえる
ば、バレてる…?
服を見るふりをして近づく
聞き耳を立てることは悪い事だと分かっているが気になる
納得したように女性達は服を持ってレジへ足を進める
顔をあげられないままの私の後ろを女性達が通る
次の店に行ったようだ
思わずため息をつく
体の力が抜けたような気がした
いきなり肩を叩かれて振り向く
フジが笑った
いつの間にか自分で着る用の服を持ったヒラとキヨが見えた
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ショップバックを持ったキヨが歩きながら話す
正直言うとどれも可愛かった…けど、キヨが選んでくれたから…
何かを見つけたヒラが店先のものを手に取る
聞いていない
圧がすごい
そう言うと渋々といった様子でキヨはレジに向かった
いつの間にか消えていたフジとヒラが店の中から出てきた
フジとヒラは顔を見合せてクスッと笑った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。