キヨの家だと言うところに着いた
背負っていたリュックを下ろしているとキヨから問いかけられる
キヨは苦笑する
そう言われても私にも分からない・・・
これじゃまるで家出してきたみたいだ
私が考えている間に準備をしてくれたらしい
なれない感謝の言葉を告げる
キヨは笑った
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お風呂から上がるとキヨはソファに座ってスマホをいじっていた
マスクを外したキヨもとても顔が整っていた
つい見とれていると
キヨが自分の隣に座るようにと指さしていた
言われるがままソファに腰掛けた
キヨはスマホから目を離さない
どう答えるか悩んでいると思ってもみない言葉が聞こえてきた
思わずキヨを二度見する
スマホから視線を向けようとしないままキヨは言った
初めてスマホから目線を外した顔は信じられないとでも言うような表情をしていた
そう言われて自分の体を見る
確かに痩せすぎと言われるくらいの体をしていた
これなら中学生と言われてもおかしくない
思わず口に出してしまった
キヨはそう言ってスマホに視線を戻した
そう言うと彼は私から目を逸らした
耳が赤い
ぶっきらぼうに言うキヨに笑顔がこぼれた
ありがとう・・・
家で仕事をする人なのかな
その時はまだ疑問に思っていなかった
彼らとの出会いが私の人生の分岐点になることを
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!