コーチ「あなたちゃんは、1つ上のチームに混ざろうか」
黒尾「お!あなたもこっち来んのか!」
チームの子「え〜……俺の方が早く入ったのに!」
「なんかコーチ贔屓してない?」
「うーんすごいんだけどね……」
1~6年生までいるこのクラブは、高、中、低学年に別れて練習しているが、能力によっては上に混ざってすることもある。
特に私たち3人がいる1、2年の低学年チームは異常に人数が多く、逆に3、4年の中学年は少ない。
黒尾「うるせーよ……お前らよりあなたの方が断然上手いんだから当たり前」
研磨「人数的にもしょうがないよね」
実際、研磨とクロはもう中学年に混ざっていた。
私も早くそっちに行きたかったから、すごく嬉しい
あなた「ケーマ!!」
黒尾「研磨!」
研磨「!……_____あなた!」
研磨がトスを上げる
あなた「!!!」
________バァン!!
あなた「〜〜~!!」
アタックの瞬間、ボールが手にフィットし、強烈なスパイクに一人噛み締めていた。
黒尾「ナイスキー!今のすげぇな〜」
研磨「ナイス……怖いよほんとに」
あなた(nice……ナイスって聞こえた)
あなた「アリガトウッ!」ニコッ!
黒尾「おう!次は俺も負けねぇーぐらいの打つっ」
研磨「多分もう負けてるよ、クロ」
黒尾「うるせー!わかってるわ、研磨こそ、あなたのトスの方が……」
研磨「上手いよね、知ってる」
………………
研磨と黒尾(才能って恐ろしい……)
中学年の子(あなたちゃんってあんな笑顔になるんだ……!可愛い!!)
私たち3人は普段からずっとバレーをしているというのもあって、コンビネーションもバッチリだった。
外見も中身も性格も、全く違う3人だったが、他人が入る隙はないぐらいだった。
クラブチームの中高学年の中で、〝ちぐはぐトリオ〟と3人まとめの名称が付いていた。
何がそんなに3人を繋いでいたかは分からない__
あの頃の私は、ブラジルにいる✘✘に変わる友達が欲しかったのかもしれないし、
それ以外にも要因はあったと思う。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。