右も左も分からないような土地で、産まれたての子鹿の様になっていた私に声をかけてくれた人は、
私と目的地が同じらしい。
なんか……ほんとに優しさが滲み出てるひとだなぁ
日本人はみんなこういうものか
口調も聞いてた通り、ちょっとだけ違ったな
その大きな背中について行きながら、私は
はっと気づいた
この人も稲荷崎高校の人だ……
いや、気づくの遅いよ、
と、内心1人ツッコミしていたら
??「高校になんか用事あるんですか?あ、俺は稲荷崎の今年から3年んなる、北信介です。」
!!……まさかの先輩、、
あなた「!はい、今年から転校して来ました、羽芽あなたです__。あ、2年生です…」
北「ほーなんか___いや、そのなりで普通に日本語喋りよるから、びっくりしたわ」
そう言い、こちらを向いてにっこり微笑んだ。
確かに、今私はブラジルの制服に身を包み、顔立ちも、両親とも日系が強いと言えど、日本人とは言えない、、、
あなた「稲荷崎高校に入るために、沢山勉強したので……私、日本語おかしくないですか?」
北「ああ、なんもおかしかないで、勉強してそんな敬語も使えるん、すごいなぁ」
あなた「!!っっ___ありがとうございます……」
勉強しておいて良かった……。
そういえば学年わかってから敬語じゃなくなってる
使い分けることは知ってたけど……
何か自然だったな、さすがだなぁ__
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。