第79話

黒尾の苦労
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2021/08/01 08:40


ガチャ……





研磨「どーぞ」

黒尾「おじゃましマース」




あなた「お邪魔しますっ……」









研磨の家だ……!

昔はずっと河川敷集合で1回も行ったことなかった。


なんか緊張……









研磨「ふっ……あなた、そんなに緊張しなくていいよ、今日親居ないから俺らだけ…だから……あ、」

自分の発言を押し付けるように、クロに視線を向ける研磨。





黒尾「!?…研磨!それ先言えよッ!……あなた、嫌だったらっ……」


あなた「あ、そーなの??それならちょっと気が楽かも」












研磨「……そ、れなら、よかった…?」


黒尾「逆に良くないね、それは……」

黒尾(あなた…マジで危機感無いのか俺らが全く意識されてねぇのかどっちだ…?




いや、どっちにしてもこれは……いつか稲荷崎向こうの奴らに……)











研磨「とりあえず、お風呂とか沸かしてくる。2人はゆっくりしてていいよ。」




















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侑「……アカン…ほんまにアカンわ……今日寝られへんわ俺……」






角名「まだ言ってんの……気持ちはわかるけど。」


治「俺も寝られへんかも……」


角名「治まで……!?」







角名「もう俺帰ろうかな……」

侑&治「「ダメや!!!」」



侑「今日角名はウチ泊まるんや!あなたが心配過ぎて誰かに言っとかんと俺正気持たへんねん!」


角名「……迷惑なんですけど……俺…」



治「そんなこと言わへんの角名、……あ〜ー、夜が来る。夜が来るでツム…」


侑「サムそれ言うたらあかんて……今あなた何しよる頃やろか…」


角名「……ダメだこの人ら……(とかいう俺も…内心心配で落ち着かない…)」



















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あなた「研磨の家キレイだね~」



ゆっくりしてていいと言われたから、私はリビングのソファでくつろいでいた。





黒尾「おー、ここいつ来ても同じだぞ。散らかす奴が居ねーもんなー」



突っ立ったままのクロが部屋を見渡しながら言う。







あなた「へー、…クロもソファ来なよ。隣空いてるよ??」



黒尾「……あなた……」







……え、なんかすごい……なんて言うんだろ、


怒ってるような?心配されてるような?呆れてるような?

なんとも言えない顔でクロが私を見る。




あなた「…ん??」








黒尾「……//(上目遣い//)っはぁ____……。」








大きなため息と共に、クロはソファの私の隣…?に腰を下ろした。




ん?なんか……狭い??










もう少し寄ってと言おうとした瞬間、クロの顔が近づいてきていることに気が付いた。







あなた「クロ……??」







ピタッと顔が止まったと思ったら、



クロは再び大きなため息をつきながら襟を正すように私と向きあう。







黒尾「……あなた…はっきり言う、危機感を持て。隙があり過ぎる。」


あなた「……へ??」



黒尾「今だって、俺が顔近づけたのに何もしなかっただろ……キスされたらどーすんの??」



あなた「え、え?/私に、きっ……キスする人なんて居な……あ。」






居た。居たんだった。あの先輩。






クロ「……!!っ居たんだな……」




クロ……なんか真剣だ。目が…



黒尾「あなた…俺の事、なんだと思ってる??友達以前に、〝男〟なんだよ。研磨も、今日あった4人も、稲荷崎の奴らも……」







それは……しってるけど……







黒尾「キスされそうになったんだろ??あなたはそいつがおかしい奴だと思ってんだろうけど、それが〝普通〟なんだよ。」



あなた「え……」



黒尾「男は皆あーなんだよ。ただ理性が保てるか、欲望を押し込めるかの問題で、根本的に一緒なんだ。





____自分を大切にしろ。あなた。」


















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黒尾side



研磨「お風呂湧いてるよ、先誰か……って、寝てるの??」



黒尾「……けんまぁ……俺……頑張ったのに……!」









俺……マジで頑張ったよ??




説教も、今俺の膝で寝てるあなたに手ぇ出さねぇのもッ!!







いや、考えてみ?初恋の女……いや、絶賛片想い中だと最近気づいた女に、


〝男は襲ってくるのが普通〟的な事例並べて、
危機感持てとか言えるか??




あなたのために頑張ったよ俺。。









〜数分前~




あなたに危機感を持てと説教じみたことを言ったあと、
あなたはずっと静かだった。





ちょっと言い過ぎたか?と思ったのも束の間、



スースーと寝息が聞こえてきた。






黒尾「おい……あなた??」


___コロン……



起こそうと声を掛けたら逆に俺の膝に頭を乗せて、本格的に眠りに入った。




黒尾「まじか……//」





寝顔……綺麗、可愛い//

頭軽い…顔小さすぎるだろ……

なんか……色気ヤバいんですけどッ!//






俺は頑張った。ほんとに、研磨が来るまでよく頑張った。表彰したいぐらいに。









あなたの血色の良い唇が目に留まり、



……何度か、マジでキスしそうになったけど、研磨の作業音で我に返った。




ていうのを繰り返してた。
















研磨「……よくわかんないけど……おつかれ。」








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あなたside




…………



✘‎✘‎『あなたはさ、大人なったら何になりたいの?? 』






私?私は_____……なんだろう……





✘‎✘‎『あなたは……プロの選手になりたくないの?? 』





……別に、なりたいとは思わない……

バレーが出来ればなんでもいい……





✘‎✘‎『 じゃあさ、なんでバレーしてるの??』






…………なんで……________??





















……パチ





黒尾「お、起きたか。おはよ〜」





変な夢をみて変な区切りで目を覚まし、私の視界には
天井とクロの顔があった。






あなた「おはよ?……えぇ!もしかしてもう朝!?」




研磨「ふふっ…まだ夜だよ。あなた30分ぐらい寝てただけだよ。」



あなた「……びっくりしたー…」

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