あなた「あ……えと、ありがと、ジャグここに置いてて」
侑「……」
無言でジャグを置き、何考えてるか分からない顔のまま私の作業を見ている。
怖い!怖いから!
侑「……なぁ、バレー好きなんか?」
あなた「うん。バレーは私の全てだよ」
侑「……治が最近サーブ安定してきよるんも、お前がアドバイスしたんか?」
あなた「アドバイスはしたよ。でもそれは治の努力あってこそだよ。」
侑「………………」
また黙ったよ。
早くジャグの中に水入ってよぉ…
この時間とてつもなく長い。
侑「……っすまんかった。」
!?……謝られた。何故に?
いや、思い当たる点はいくつかあるけど……
あなた「何に謝ってるのかよく分からないけど、侑君が女子を嫌うのも分かるから……
確かにあれは……うざかった
私も実際キレちゃったしね。」
1人で頷き、今更あの黒歴史を肯定する。
侑「ははっっ……!」
あなた「!?……なんで笑うの?」
侑「確かにあれは傑作やったなぁ、男バレの武勇伝として語り継ぎたいわ」
あなた「っ!それだけはダメ!!」
ほんとにダメだ。自分から話題として出しておきながら必死に否定する。
侑(っっ//ち……近っ……
こいつの距離感おかしない??ブラジルの距離感か??)(そうです。)
侑「ぶ、部活の日誌にもう書かれとるで!角名も動画撮りよったし!
あと水!いつまで出してんねん!」
あなた「日誌!?動画!?何それ知らない…!」
侑「水や!あなた、水!」
あ……
スポドリ薄っ…………
侑「ちと水流して粉追加するか…」
あなた「!?水流すの……?」
侑「??おん。」
そっか……こっちではこれが普通。
日本、飲めるほど綺麗な水の普及率、すごいもんね。
お金も全然掛からない。
侑「??」
あなた「ごめんなさいっ……」
バシャー……
水を捨てて、新しい粉を追加した。
侑(水捨てることに謝っとんか??)
侑「……声、試験とき出してくれてありがとな。あなたが声出してくれへんかったら、俺、ほんまに選手生命絶たれとったかもしれへん。」
あなた「ふふっ……治と同じこと言ってる」
侑「??サム…?」
あなた「試験終わった後、治も同じようにお礼言ってくれたの、からかわれたけど…」
侑「仲ええんやな……」
あなた「ん?」
侑「いや、……あなた、バレー出来るんか??」
あなた「うんまぁ…」
侑「どのぐらいや?」
あなた「(どのぐらい!?)え……と、
___________ぐらい?」
侑「はぁ!?」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!