担任「えー、そろそろ文化祭の準備が始まります」
部活にも慣れてきた頃、ホームルームで文化祭で何をするかの話になった。
こっちに来て行事は始めてだからワクワクする。
一ノ瀬「出し物もやけど……今年は誰が出る!?
ミスコン!!!」
凄く盛り上がってるみんな……
私はそのテンションに着いていけず、話し合いはクラスメイトに委ね、日本語……私の苦手な古典の勉強をしていた。
角名「あなた、ミスコン候補上がってるよ?」
あなた「っ!え……」
黒板を見ると、私と久遠寺さんの名前が上がっていた。
あなた「ほんとだ……私嫌だよ?」
角名「一ノ瀬達に言いなよ。すっごいあなた推してるからあの辺。」
あなた「ね、ねぇ、すごい視線感じる……今前向いたらダメな気がする。」
角名「っ!うん、前向かない方がいい。久遠寺さんすごい形相でこっち見てる」
怖い怖い……最近通りすがりに嫌味言ってきたり、今みたいに睨まれることが増えた。
去年は久遠寺さんと、食べ物と引き換えに嫌々治くんが出たらしい。
久遠寺「女子は置いといて男子はどーするの!?」
一ノ瀬「男子は……宮!お前が行……」
治「俺やらへんで。去年で懲り懲りや。」
クラスの男子「じゃあ角名!!」
角名「俺も無理。そういうの出来ない。」
おお……立て続けにバレー部が候補に上がるとは……
確かに2人とも顔整ってるもんね。
久遠寺「治くん、私と一緒に去年のリベンジしようよ!」
治「無理やて……んでも、あなたがやるんやったら俺もやる」
「「「!?!?!?」」」
角名「治バカっ……」
一ノ瀬「ぉぉおお!ええやんええやん!今年はグランプリ目指せるで!!」
クラスの子「最強タッグやんバレー部!!」
更に盛り上がるクラスの中、私は視線が痛かった。
あなた「ちょと待って、私は……!」
クラスの子「どんなコンセプトの衣装にする!?」
「絶対映えるよな〜!!」
全然声通らない……どうしよう……
藤咲「…………っ!ねえ!ちょっと待って!!」
一ノ瀬「ん?なんや藤咲、お前出たいんか?」
藤咲「黙れ一ノ瀬。
……グランプリ目指すなら、他のクラスと何か差をつけへんと。あなたと宮のコンビはええと思うけど、それじゃ他のクラスと同じやん。
クラスの中でビジュの良い男女。それだけんなる。」
クラスの子「……確かに…」
「隣ののクラス侑くん居るしね……」
「去年のグランプリも……」
藤咲「せやろ??そこで、私からひとつ提案。
あなたが男役やるの、いいと思うんやけど。」
あなた「……っ!へ??」
クラス「「!!!!!」」
一ノ瀬「それええな!!絶対映えるで!あなたの男装!」
-----------------------------
結局、私と久遠寺さんでミスコンに出ることになった。
あなた「とんでもないことを……」
藤咲「宮とやるより断然安全や。それにあなた、まじで男装似合うと思うよ。」
あなた「確かに…まだこっちの方がいい。
あ、カヤ、助けてくれてありがとう。」
藤咲「ふふっ……これで久遠寺さんとも仲良うなれたら万々歳やな〜」
あなた「……楽しそうで何よりだよ……」
-----------------------------
角名「治、治も考えて行動しなよ。」
あなた「ほんとだよ、カヤが助けてくれなかったらどうなってたか……」
治「すまんて、やけど久遠寺とペア組まれそうやった俺の身にもなれや…」
角名「それは、まぁそうだけど……」
部活で治への説教をし、3人で話していた。
侑「お、お前らのクラスミスコンでるの決まったんか?」
治「ツムは今年出るん?」
侑「おお、出るで、ペアも男やけどな!」
いやいや、考え方被ってるじゃん……
侑「お前らのクラスだれが出るん?」
治「いや、まだ決まってへん。」
侑「ほーん……」
あ、そうか、本番まで他のクラスに言うなって口止めされてるんだった。
あなた「私たちのクラスの出し物ってなんだっけ?」
角名「あなた古典に集中してたもんね、お化け屋敷だよ。」
おお……お化け屋敷!
楽しみだ
━━━━━━━━━━━━━━━
新作です!ぜひ!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!