第29話

結婚生活29
111
2020/11/24 03:47
促進剤の点滴が朝から始まった。
やっと痛みが出てきた。
痛い
怖い
産めるかな
様々な感情が交差する。

「藤堂さん、ちょっとずつ陣痛始まったね!でも、これからもっともっと痛くなるからね!」
看護師さんがサラッと言った。
えっ!?まだ痛くなるの?
もう結構痛いんだけど!!
ヤバい耐えられるのか?
めちゃくちゃ怖くなってくる。
早く隆二、来てくれないかな?
怖いよ。不安だよ。
そんな時
「藤堂さん、ご主人来てくれましたよ!」
やっと来てくれた!
隆二が側に居てくれたら頑張れる!!
「あまね!遅くなってごめんな!大丈夫か?」
『隆くん( ;∀;)もう痛くて死にそうだよーでも、もっと痛くならないと赤ちゃん産まれないんだって!怖いよー痛いの嫌だよ!』
「大丈夫!俺が側に居るから!ずっと居るから一緒に赤ちゃん迎えてあげよう!」
隆二の言葉に少し安心して顔見たら泣いてしまった。
その間も間隔は定まらない陣痛が続いた。
『隆くん、また痛くなってきたー!!!痛いよ!もー辞めたい!帰りたい!!』
「頑張ろ一緒に!赤ちゃんも頑張ってるから!」
分かってる頭では、ちゃんと。
赤ちゃんも頑張ってる事。
でも痛みが強すぎて、そんな余裕なかった。
時間を増すごとに強くなる痛み。



それからも不定期にくる痛みと続く。
いったい、いつ産まれるの?
いつまで痛いのか?
これ以上痛くなるとか耐えられない。
気が付くと半日は時間が経過していた。
あと何時間続く?
もう限界。
どうしよう。
定期的に子宮口を触診する主治医。
「陣痛は、いい感じなんだけど子宮口が全然開かないね。」
この時の子宮口は、わずか4センチ。
赤ちゃんが産まれるには10センチは開かないとダメと言われた。
子宮口を無理やり広げる処置をした。
またそれが激痛だった。
世の中のママ、みんなこんな痛み経験してんの?
すごい…
そんな事ばかりが頭を過る。
もう早く産まれてー早く解放してー。
結局、陣痛は3分間隔にはなったけど子宮口が4センチから、まったく広がらないまま夕方になった。
その間も隆二は、ずっと側に居てくれた。
手を握ってくれたり背中をさすってくれたり赤ちゃんに話しかけてくれたり。
本当に心強かった。
そんな時また主治医がやって来て触診。
「藤堂さん。まだ開かないね…少し羊水も濁り出してきて赤ちゃんの心拍も弱くなってる感じがするから採血してみるね。」
一気に不安が押し寄せる。
そして採血をして結果を言われた。
早朝の破水から24時間経過して羊水が濁り感染症を起こしている事。
痛みで気が付かなかったけど私に高熱が出ている事。
赤ちゃんが弱り始めている事。
「このままだと赤ちゃんも藤堂さんも危険。ここまで
頑張ったけど子宮口が開かない事には赤ちゃんは産まれないし感染症を起こしてしまったて危険だから緊急でオペ(帝王切開)します!」
頭の中が真っ白になった。
こんなに痛いのに?
手術?
ここまで耐えたのに?
『先生!イヤです!ちゃんと自分で産みたい!手術なんてイヤです!!』
「そうだよね、でもこのままじゃ本当に危険。障害が出たり藤堂さんの命も赤ちゃんの命も危ないんだよ。」
『でも怖いです!手術なんて!』
隆二が私の手を握り
「あまね。あまねの気持ちは分かった。ここまでよく頑張った!でも赤ちゃんも、あまねも危険なら先生の言う事に従おう!2人共に失うなんて俺は耐えられない!ちゃんと側に居るから!大丈夫!先生に任せよう!」
もう納得するしかなかった。
手術なんてした事ない。
怖い。
なんで、こうなったの?
私、何かいけなかったのかな?
泣きながら考えていた。
その間も隆二は、ずっと手を握ってくれていた。
それから隆二が手術の同意書にサインしたりと緊急手術に向けての準備が始まった。

プリ小説オーディオドラマ