第5話

すりー
1,924
2022/07/29 14:57
俺たち きょうだい にあったことを全て彼女に話した

元々は裕福な家庭だったこと

母は妹を産んですぐに死んでしまったこと

友だちやきょうだい、父と楽しい日々を過ごしていたこと


そして──父が突然失踪し、更にはヒューマライズの団員だったということが広まって、自分たちがここで暮らすことになったこと
あなた
そっか……ヒューマライズ…………
あなた
ヒューマライズって、あれだよね、”個性”は病気だって言ってる人たちの
幼少期のロディ
そ、あんなイカれた団体に入団してる奴の子供なんて、やっぱ気味悪いよな
自嘲気味に笑う、それは本能的にとった行動らしく、ピノも同じような顔をしている
あなた
ううん、そんなことないよ
……なんで、そんなにあっさり言えるんだよ

そんな俺の心の声が聞こえたかのように、彼女は話し出した
あなた
だって、入団したのはお父さんであって、ロディたちじゃないでしょ?
だったら関係ないよ
幼少期のロディ
…………そっ、か
そんな風に言われたのも初めてだった

みんな、オヤジがヒューマライズの団員ってだけで、俺たちのことまで差別してきたから
あなた
それに、ロディはとっても偉いと思う
幼少期のロディ
え…………
あなた
お父さんがいなくなってから、一人で弟くんたちを支え続けてきたんだよね
それってとてもすごいことだと思う
あなた
普通、きょうだいとか子供とか養わなきゃいけない人って、途中で耐えらんなくなって、家族を捨てて自分だけ生きる、みたいな人も少なくないんだよ
……スラムここでは
その時のあなたの表情は、とても悲しいような、辛いような顔をしていて

彼女が今まで経験してきたこと、見てきたことが積み重なっての表情なんだろうな、というのがすぐに伝わってきた
あなた
だからね、わたしと一緒にいる時くらいは気を抜いていいんだよ
わたしはロディがすごい人って知ってるんだから!
俺がすごい人

きょうだい以外の人からそんなことを言われたのは、かなり久しぶりだった

その時パッと、昔父親に言われた言葉を思い出した

「すごいなロディ!」
ツーっと何かが頬を伝っていくのを感じた

それが涙だということに気づくのには、それほど時間はかからなかった
あなた
えっ、え!? どうしたのロディ!?
幼少期のロディ
ごめん……なんでもないんだ……本当に……
どうして、どうして俺の脳みそは、こんなたった一言を鮮明に覚えているんだ

あんな奴との思い出なんてもういらないのに、涙が溢れて止まらない

感情を隠すなんて余裕も無かった
幼少期のロディ
うぅ……ううぅ…………!!
ピノ
ピ…………!
あなた
…………大丈夫だよ、わたしがついてる。もう溜め込まなくて良いんだよ
そう言ったあなたは俺のことを抱きしめてきた

とても暖かい、母さんの温もりもこんな感じだったっけ

それからしばらく、俺は彼女の腕の中で泣き続けた

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