先週から気温がぐんと下がり
凍てつく風が俺の頬を撫でていく
確か,あなたちゃんと初めて会ったのも今日みたいに寒い日だったなぁ…
その日は寒すぎて滅多に外に出なかった俺はお使いを頼まれててスーパーから家に帰ってる途中だった
はぁ…とついたため息が白くなったのに驚きながらも少し急ぎめで歩く
ポツ………ポツッ
俺は足早に近くの公園の屋根のあるベンチへ向かった
俺は何故だか分からないけど…
帰りたくない
まだ一緒に居たい…
あなたちゃんと話していたい…
そう思っていた
にひひと笑う君は本当に可愛くて
今話している内容が違う男っていうのが切なくて
雲の間から日光が射し込んで明るく見えた彼女を………
不覚にも
「好き」と思ってしまった
駄目駄目!
折角最近自分の気持ちを押し殺せてたところなのに!
そう…今あなたちゃんところちゃんはくっつかない両想いで
ころちゃんのライバル,さとみくんが居て…
と中々ややこしい状態になってる
だから,そんな中急に横から俺も参戦しちゃ駄目だ
それに2人とも応援するって言っちゃったし
何故か今見た雪と,去年あなたちゃんと見た雪とでは
違う切なさがある気がした
1年前は恋をした女の子と離れたくない切なさ
今は親友の好きな人が自分の好きな人と同じで気持ちを押し殺している自分2なぜだか分からないけどキュウッと胸が締め付けられる切なさ
降る前は楽しみでワクワクしていて
降っている時は止むのが切なくなっちゃって
止んだら楽しかったなって思える…
だけど…俺の場合
止むまでが長くて苦しいんだよなぁ……
俺はもう一度雪が舞い降りている空を見上げて宛もなく歩き始めた…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。