第154話
秋風の日の恋人
夏───。
それはギラギラと太陽が眩しくて手のアイスも溶け始めている時。
君は優しく言ったんだ
そう言った君の耳は少し赤くて…
照れているからか,気温が高いからかなのは彼しか知らない
その時まるで初々しい私達を後押しするような暑い日には嬉しい風が一吹きした────。
今私達は思い出を形で残そう!という事デートに行く度に写真を撮って作ったアルバムを見返してる
すると君は急に向き合って真剣な目で
と一言。
きっとこれは君なりに「来年も一緒に居ようね」を伝えたかったんだと思う
だけど去年みたいに耳が赤いのには気付かないふり。
この時もっと好きって言ってればよかった
私も行く!って言ってれば……
君と来年も夏祭りに行けたのかな
なーくんがコンビニに出掛けてから1時間半くらい経っている
家からコンビニまでは5〜10分で着くし…
まさか………迷子?!
いやいやそっからそこだしなあ……
も,もしかして……事故に巻き込まれてたり?!
いやいやいやそれだったら連絡が来るだろう………
とりあえず!探しに行かないと!!!
彼は意外とすぐに見つかった
そうコンビニに行く道の途中で何か足元を見つめてゆっくりと歩いていた
なーくんが驚いて指を指した先には……
信号機の根元にキランと光るストラップがあった
そしてなーくんはそれを目にした途端走り出す
なーくんが走って渡っている横断歩道の信号は………
赤色……?!
プップーーー!!
プーーー!!
駄目だ……間に合わない!!
気付いたら私の足はなーくんの方に向かっていてなーくんの背中を押していた
ドンッッッ!!!
目を覚ますと私の周りには見たことがない機会が沢山並んでいて白衣を来た男の人が見えた
なんだか息が苦しいや……
なんでだろ………
私…何してたんだっけ?
そうだ!!なーくん!なーくんは無事なの?!
ん……でも凄く眠たいや………
なーくん…なーくんに会いたい………
ドタドタドタッ………ガチャッ!!
なんだか身体中が痛くて声を出すのも苦しかった……
もう二度となーくんに会えなくなるかもなのに……
なーくんに伝えたいのに……
「好きだよ」
「大好きだよ」
「愛してる」
って
「幸せになってね。さよなら」
って………
言いたいのに…声が出ないよ……
それはゆるやかで切なく寂しい風が吹いた秋の日の出来事………。
秋風の日の恋人
END