俺は元からクラスで目立つタイプじゃなかった
時々教室の真ん中で円になって立ち話してるグループと話して皆で笑ったりする“予備”の存在
そんななんも取り柄のない俺の前に…
ある日
天使のような子が現れた
その子の周りにはいつも沢山人が集まってて
その子の笑顔は太陽みたいに眩しくて
その子の声は胸をときめかせるように甘く,透き通っていて
俺に初めての感情を与えてくれた___。
初めて君と出会ったのは高校の入学式の日。
入学式が終わって教室へ行こうとした時迷ってしまってある1本の桜の木に辿り着いた
誰も居ないと思ってポツリと呟いたからまさか木の向こう側の女の子に聞こえてるなんて思わなかった…
木の幹からヒョコッと顔を見せた女の子の周りには
沢山の桜が舞散っていて
笑顔が眩しくて…
思わず………
何言うとんねん俺!
付き合っても無い女の人に…
しかも初対面やから名前も知らん人に……
綺麗なんて言うてもた?!?!
ん?
あっ…………
あぁ〜…
まぁまぁ…良かった………
んかな?
にっこりと微笑む彼女が
この世の物とは思えないほど美しくて…
見惚れてしまった……
あなたちゃんはいつも教室の隅っこで静かにしてる俺に話し掛けてくれた
どんな時も
話してくれて…
助けてくれた
その時からだ
クラスメイトが俺と話してくれるようになったのは
今ではめっちゃ阿呆な事言うてるし
大阪弁も隠さずに言ってる
ずっと好きだった……
こんな気持ちになんの初めてやった…
初恋やねん
やけど…
次の年,高2でもう1回あなたちゃんと同じクラスになった
でも…あなたちゃんの幼馴染みも同じクラスになって…
この2人の仲は強いって事がわかった
それから……
両想いな事も………
辛かった
苦しかった…
だけど,あなたちゃんの幼馴染みもめっちゃええやつで
うるさくて
すぐ頼ってくるけど憎めなくて
めっちゃ優しい
俺はこいつには勝たれへん
完敗。って事が一瞬でわかった
悲しかったし
悔しかった
だけど…
あなたちゃんの幼馴染み…
ころんなら納得が行く
早くアメリカから帰って来いよ…
何も行動に移せなかった俺を哀れむように
涼し気な風が吹き
あの日散っていた桜の色とは違う
赤色の葉がゆっくりと俺の近くに舞散った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。