元気よく響く二人の声。
二人も一緒のクラスだったことを今思い出す。
元気よく話すこの子は都築風羽。
とにかく明るくて元気。記憶をなくして
心まで失いそうだった私を元気づけてくれた子。
私が今日学校に来れたのもこの子のおかげ。
そしてこの子は篠山琴華。
風羽ちゃんほどではないが明るくて優しい子。
とにかく気遣いができて困ってる人はほっておけない。
記憶をなくした私にも根気強く接してくれてる。
この子達は私のお友達。否、元は親友だったらしい。
二人によると小学校からの幼馴染みたいで、
私自身は覚えてないんだけど二人は一緒に居てくれる。
正直嬉しい。こんな私と一緒にいてくれるなんて。
元気よく挨拶をする3人に聞いてみた
あっ…どーしよ…言ってもいいのかな?
とりあえず言わないことらしい。
この日は特に何事もなく授業を受けた。
家に帰ってきてリビングに居たのは江口さんのみ。
そんな話をしてると安元さんが帰ってきた。
ふと、帰ってきた安元さんが持っているものに視線を落とす。
ジャーン!と言わんばかりに白い箱を高く掲げる
これは……
ふと自分の名前を呼ばれ顔を上げる。
安元さんはぽんっと私の頭の上に手を置くと
にっこり微笑んで
と言った。
私は満面の笑みを返す。
【家族】
その一言が私はとても嬉しかったのもあるけど
安元さんが、皆さんがそう思ってくれていたことが
何よりも嬉しかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。