第26話

えがおのうら
229
2021/08/17 01:34


それからここでの生活が始まった。

えぐにぃと美波ねぇ、それから かける という人も同じ部屋だった。

まぁ二人と同い年ということでかけるにぃと呼ぶことに。 



幼少期のかける
よろしくね宏太朗くん
幼少期の宏太朗
よ、よろしくお願いします…!


まるで弟ができたみたいだ。ところころ笑うかけるにぃ。

私もこんなかわいい弟欲しかったんだよね〜。とふわふわ笑う美波ねぇ。

もう弟みたいなもんでしょ?と弾けるように笑うえぐにぃ。




みんな優しそうですごく安心する…

この三人が兄や姉になってくれるのならと本気で考えてた。

そのくらいみんな優しくて良くしてくれて………楽しかったのだ。






ここに来て約一か月




幼少期の拓也
おはよ〜宏太朗〜
幼少期の宏太朗
おはようございますえぐにぃ!
幼少期の拓也
ん〜朝から元気だねぇ〜〜


よしよしと撫でてくれる。

………子供扱いしないでほしい


幼少期の美波
ほら、いつまでも遊んでないで食堂行くよ!


はーい!と二人で返事をする。

ここの生活にもまぁ慣れたもので、



施設の人
はーい、皆さんおはようございます。
施設の人
今日は月に1回のお掃除の日です。しっかりきれいにしましょうね
幼少期の宏太朗
???



お掃除の日…?そんなものがあるんだ?

幼少期の宏太朗
あの、えぐにぃ。お掃除の日ってなんですか?
幼少期の拓也
ん?あぁ、宏太朗は初めてだもんね。お掃除の日っていうのは〜


まぁ簡単にまとめると

・児童の皆はそれぞれ指定された場所を掃除する。

・何人かのグループになって掃除するけどそのメンバーはランダム。

・その間僕たちの部屋を施設の人が掃除してくれる

というものだった。

普段から僕達も部屋を掃除してるけどもっと隅々までやってくれるらしい。




そして僕は倉庫の掃除になったんだけど…

たつき
おう、お前が宏太朗かぁ
さや
へぇ〜よろしくね〜
幼少期の宏太朗
よ、よろしくお願い…します



三人ペアなのに二人とも年上というなんとも言えないメンバー…


なんか上から目線でちょっと怖い…

たつき
俺は葉山たつき
さや
藍野さやでぇす
幼少期の宏太朗
に、西山…宏太朗……です…


明らかに怒らせたらヤバそうなお兄さんがたつきさん。

なんかすっごいキャピキャ…ん"ん…かわいらしい(?)お姉さんがさやさん。



大丈夫…かな…なんなすごい心配だけど…


たつき
まぁ、そんな緊張そんなって!なぁ一緒に頑張ろうな
幼少期の宏太朗
あ、はい…!




なんとか…なるよね?













たつき
おいさや!そっち終わったか?
さや
うんおわったよ〜ん


あのあと少し会話を挟みながら作業をする。

ここの倉庫周りは僕達しかおらず結構範囲が広い。


たつき
はぁ…つかれた。おい宏太朗!!
幼少期の宏太朗
は、はい!
たつき
俺疲れたからこっちもやっといてくんね?
幼少期の宏太朗
………え?
たつき
だ〜か〜ら〜こっちもやっとけって言ってんの。聞こえない?


え、まってこれ僕がおかしいの?

あっちはたつきさんのやるばしょだよね??


幼少期の宏太朗
えっでも、僕こっち終わってな


ドゴッ




え?



たつき
はぁ?知らねぇよ。早よやれや
幼少期の宏太朗
は、はい…


怖くてすくんだ足をなんとか動かす。

ひりひりと痛む頬を押さえる。



え、何が…おきたの……



なぐ…ら……れた……?




何か僕間違ったことしたのかな



痛みと昔の…トラウマで怖くて怖くて…






震える手をなんとか抑え




滲んできた涙に気づかないふりをして










僕は作業を進めた。









後ろで嗤ってる二人に気づくことなく。










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