あなたとスニョンの過去のお話
ソウルの中心部から少し離れた所に
ある町があった。
田舎ってほど田舎では無いけど
都会っぽい雰囲気がある訳でもない。
そんな、ごく普通の町。
そこで暮らすクォン一家は
その町よりも普通の家庭だった。
父親がいて、母親がいて
当時中学1年生の長男と
小学5年生の長女、
3歳だった末っ子、そして
小学1年生の双子が居て。
少し人数が多いくらいの普通の家庭。
そんな幸せな家庭に悲劇が襲ったのは
今から約12年前の火曜日、真っ昼間の事だった。
当時、双子以外のクォン家は振替休日のため
リビングでいつも通り昼食を取っていた。
双子は公園に出掛けたまま、帰ってきていなかった
そしてpm.1:30、
お腹を空かせた双子が家に帰宅すると
リビングで父、母、長男、長女、末っ子が
刺殺体で発見された挙句、
殺したであろう犯人と出くわしてしまったのだ。
顔をバッチリ見られてしまった犯人は後の供述で
『 コイツらも殺してしまおうと思った 』
と、答えている。
刃物を持って双子を追いかける犯人。
泣きじゃくる妹の手を引いて走る兄。
平日の昼間だから誰も居ない道。
双子はひたすら走った。
でも、大人のスピードに勝てるはずがなくて。
追いつかれてしまった。
刃物を振りかざす犯人。
幼い少女の右腕を傷つけ、白い肌を赤い血が染めた。
警察が駆けつけるのがもう少し遅かったら
双子は確実に殺されていただろう。
兄に目立った外傷は無かったが
妹はかなり深い怪我をしていた。
その後、双子は親戚に引き取られるも、
周りがわかるくらい酷い扱いを受けていたため、
近所の人が児童相談所に連絡し、
孤児院に保護された。
そして今、
心に深い傷を負ったまま
孤児院を出て、2人で暮らしているという。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。