No Side
その日は、雪の降る日だった
家や道には雪が積もり、辺り一面銀世界になっている
周りの空気は冷え、呼吸すれば肺を刺すような痛みを感じる
そんな日には、普通の街に並ぶ家々にある穴という穴はしっかりと閉じられ、鼠一匹、暖かい空気一掴みも逃さない…そんな光景が見られるはずだ
そう…"普通の"街であれば
ここは退廃地区、通称、貧民街
スラム街と言うと分かりやすいかな
聞けば想像はつくと思うが、ここはかなり荒廃しており、暗い雰囲気を醸し出している
退廃地区の中でもここは特に子供が多く集まっている地域で、家の作りは甘く、雨風が凌げさえすればいいという家も少なくない
では、子供たちはどうやってこの寒さを凌いでいるのだろうか?
答えは簡単、一番きれいな家に皆で集まって過ごしているのだ
先に食料を集めておけば外に出る必要もない
雪が降っているから、皆家の中にいるから、外には誰もいない……そんなはずだった
雪に埋もれた道路に映る2つの人影
それは、倒れている人と、その傍にいる子供のものだった
子供は心配そうに倒れている人を覗き込んでおり、必死に声をかけている
その子供は、まだ小さな少年のようだ
彼を見てみると、まず目につくのはその髪だ
綺麗な銀髪で、周りの雪と同化している
顔が見えないことも相まって、よく見ないと彼の存在に気づけないかもしれない
それくらい、"雪"というものが似合う少年だった
彼が声をかけている相手は、意識を失っているようだ
顔色は青ざめており、生気を感じさせない
まるで眠っているように倒れているが、ただの眠りとは異なる点が一つだけあった
それは……呼吸していないことだ
彼はその事を理解しているのだろうか
まだ幼い少年にとって、この事実を理解することは難しいかもしれない
必死に声をかけ続ける様子は、狂気さえ感じさせる
しかし、彼はちゃんと分かっているのではないか?
そう思ってしまうのは、彼の全てを理解したような瞳のせいだろう
雪の降った日、その雪は一つの生命を奪い、一つの心を凍りつかせた
この雪は、まだやむ気配はない
星もない長い夜が明けていく
これは、この日から数年後の少年の成長を描く物語










![[ 大型参加型 ] # 天空の賽子に全てを任せ 。](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/OdQY9PRCapcR2Vu3TgUF1zkHQ8k1/cover/01KZ8EZKDN00GBAXG82H0MX4N7_resized_240x340.jpg)




編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。