第4話

現在
90
2021/04/12 09:00

いつも遠回しにいじめられる。

いつもみんなは見て見ぬふりをする。

いつも距離を置かれる。


この高校に入っても、全くと言っていいほど変わらなかった。この世にいては何も変わらないのだと悟る。


「えぇ……では、図書委員の立候補者は……」


今はクラスの委員決め。

図書委員……ならやってもいい。どうせ、やりたい人なんていないし、面倒な仕事は僕みたいな人にやってほしい…そういうのがみんなの本音だろう。


僕はそっと手を挙げた。


先生
じゃあ、みんな川瀬でいいな?

先生がそう尋ねる。

満場一致……だと思っていると、綺麗な白い手が伸びた。
須貝 陽葵
須貝 陽葵
待ってください。図書委員の仕事を全て一人では荷が重すぎると思います


僕は去年も全て一人で完璧にこなした。一人で十分だ。一人の方が集中できるし、はかどる。


頼むから余計なことはしないでくれ……と言いたかったが、僕にはクラスのみんなの前でそんなことを言う勇気はない。


先生
そうか……なら、このクラスは女子が多いし、図書委員を女子四人にしよう!ちょうど、美化委員の女子と休み補助の係が多かったからな!


は……!?
僕は五秒くらい空いた口が塞がらなかった。

図書委員が四人!?

背筋が凍る。

ありえない。先生、いくらなんでもそれは多すぎる!

須貝 陽葵
須貝 陽葵
では、わた……
栗原 夜菜
栗原 夜菜
先生、やります
先生
お、栗原だな。他は?
須貝 陽葵
須貝 陽葵
はい!
先生
須貝……と。


夜菜さんに、須貝さん。



夜菜さんが立候補するのは意外だったけど、この二人なら特に害はなさそうだ。

あと一人……あの大人しい子が入ってくれれば何とかやっていけそうだが。

先生
じゃあ、あと一人……
瀬木 琉菜
瀬木 琉菜
しょうがない!私する〜!
先生
よし、瀬木で決定だな。


瀬木……!?どうして……!


地獄だ。真っ暗な未来しか見えない。


僕は一瞬にして目の前の光を失った。

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