朝のホームルーム。
皆、まともに聞いていないが、僕はスピーチコンテストが気になった。
それも、どうやら人権に関するテーマらしい。
チャイムが鳴り、ホームルームの終了が告げられると瞬く間にクラスが騒がしくなった。
僕はスピーチコンテストの応募用紙を手に取る。
第36回スピーチコンテスト!
今回のテーマは【人権】
あなたが考える世界の課題や人権に対する考え等……!
審査員が審査した結果、最優秀賞に輝いた方のスピーチはテレビで放送されます!
あなたがこの世に伝えたいこと、スピーチで伝えませんか?
たくさんのご応募お待ちしております。
僕はこのような内容のかかれたチラシを読んだ。
瀬木だ。
僕は急いで数学のプリントを手に取り、スピーチコンテストの応募用紙を隠した。
瀬木はそう言うと、また陽キャの集まりに帰って行った。
ほっとしているのもつかの間、次は夜菜さんが来た。
夜菜さんはそれだけを言うと、自分の席に戻った。
僕はスピーチコンテストの応募用紙をポケットにいれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。