☆30☆
人間って…不思議だ…
こんな時は…
走っても走っても、全力疾走できるんやな…
ハル…
俺のハル…
いま行くからなッ!!!
病室まで行く途中のベンチで、泣いてる女の人が居った。
その人がハルのお母さんだと、気付いたと同時に、足がすくんだ…
まさか…
ハ母「…もしかして…大毅くん?」
泣きはらした目で、俺を見るその顔に、ハルの面影がある。
重「そうです…」
ハ母「お願い…あの娘の傍に居てあげて……?」
そう言うと、また手にしたタオルに顔を埋めた。
せやった…
俺…約束しとったんや…
重「ハル?」
ベッドの上のハルは…
いろんな管に繋がれて…
顔色も昨日とは全く違っていて…
こんな姿 見たら…
後悔せんワケがない…
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。