☆31☆
ハ「……ハァ…だいきぃ……」
酸素マスク越しの声が、息苦しそうだった。
重「ハル…ゴメン…来てもうた…」
ハ「…私ね…お願いしたの……大毅が来るようにって………叶ったww」
血の気が無い、その唇で笑うハル。
重「よかったなぁw」
笑えとるんかな?俺?
もぉ…何も分からへん…
ハ「…良かった……大毅…笑ってくれた……」
差し出したハルの手を握った。
少し冷たかったが…まだ、生きている。
そんな感触だった。
ハ「……約束……守れなくて…ごめん…ね………」
重「何 言うてん!そんなん…許さんからな!」
ハ「ゴメン…」
重「イヤや!……ハル………好きやねん……ハルが居らんかったら………どうやって生きて行けばええねん……」
ハ「大丈夫。……大丈夫だよ………」
ハルは そっと、俺を撫でた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!