第6話

封筒の中は...?
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2022/08/17 12:00
暗い倉庫のような場所の中。2人の人物が居る。
1人は、大きな缶の横に立って、後ろで腕を組んでいる男。そして、もう1人は、缶の上に座り、どら焼きを食べながら、空に浮かぶ星を眺めている。

横に立っている男が、座っている男に
「行かなくて良かったんですか?」と聞いた。
夏巳 空牙
別に良い
座っている男____夏巳空牙の首元でネックレスが月の光に反射して輝いた。
いよいよ空牙のタイムカプセルに入っている物を見る番になった。もしかすると、タイムカプセルの中に空牙の居場所の手がかりがあるかもしれない。そう思いながら、空牙の物を取る。
和雲 秋
手紙...だけ?
晴風 冬香
みたいですね...
箱に入っていたのは、少し汚れている白い封筒だけだった。
風春 鈴
中に入ってるかもよ!?
和雲 秋
いやいや、限られるだろ
風春 鈴
見てみないと分からないじゃん!
和雲 秋
そーだけどさ...
晴風 冬香
鈴の言う通り、見てみましょう
和雲 秋
冬香ちゃんが言うなら...
アキが何か失礼な事を言っていたが、無視して恐る恐る封筒を開ける。封筒の中には2枚の紙が入っていた。
風春 鈴
手紙と...
和雲 秋
写真か...?
晴風 冬香
8月1日...これって...
表を見ると、私達幼馴染4人が写っている。
高校の制服でタイムカプセルを埋めた大樹の下で、友達に撮ってもらった写真。写真の中の私達は、嘘偽りの無い笑顔で、全員の首からは同じネックレスがさげられている。
和雲 秋
大切な物って...これのことか
晴風 冬香
どういうことですか?
和雲 秋
あぁ...タイムカプセルを埋めた時、ナツが「1番大切な物を埋めた」って、言ってたから
風春 鈴
へぇ〜。そんな事あったんだ
和雲 秋
とりあえず、手紙も見ようぜ
晴風 冬香
そうですね
2つに折って、閉じていた手紙を開く。
風春 鈴
《10年後の俺へ》
10年後の夏巳空牙へ

10年後...何をやっているか全然想像つかねぇな。俺がやってることは分からないけど、晴風は家の仕事を継ごうと頑張っていたから継ぐだろうし、和雲は小さい頃から人を助けていたから人を守ったり助ける仕事に就くと思う。鈴は...なんでも出来そうだな。まぁ、未来への想像はここまでにして...将来何をしてても良い。でも、これだけは覚えててほしい。俺が辛いとき、道を間違えそうになったとき、いつも皆がいた。もし、悩んだり、辛いことがあったら、4人を思い出せ。
風春 鈴
......
和雲 秋
ナツ...
晴風 冬香
夏巳君...
風春 鈴
......手がかりは無しか
和雲 秋
...まぁ、良いんじゃないか?
和雲 秋
ナツがどう思ってたとか分かったし。それに探すのを辞める気は無いだろ?
風春 鈴
勿論。辞める気なんてある訳無いじゃん
晴風 冬香
.........
風春 鈴
冬香?
晴風 冬香
あ...すみません。少し考え事をしていて...
風春 鈴
考え事?
晴風 冬香
はい。でも、小さな事ですし解決しましたので...
風春 鈴
なら...良いけど
まだ少し違和感を感じながらも納得した言葉を出す。
和雲 秋
...日が変わる時間も近くなってるし、そろそろ帰るか
風春 鈴
そうだね
晴風 冬香
そうですね
冬香が、自分の封筒とタイムカプセルに入っていた本を持って、「では」と言って帰ろうとする。
冬香は、大きな会社の社長であるから、遅くまで帰って来ないとなると、警察を呼ばれ、大事になってしまうらしい。
和雲 秋
あ、冬香ちゃん。送るよ
アキが冬香を引き留めて、自分の物を鞄に入れる。
風春 鈴
(アキが送るなら安心か...)
風春 鈴
って、私は!?
和雲 秋
お前は大丈夫だろ
風春 鈴
はぁ!?
和雲 秋
んな大声出したら、近所迷惑だろ
風春 鈴
ひっど‼︎
和雲 秋
はいはい。じゃあな
アキは適当に返事をしてから、冬香の手を引いて、帰って行く。冬香は、戸惑いながらもこちらに頭を少し下げてから、アキに連れて行かれた。
2人が見えなくなり、私も帰ろうと箱の中を見る。
風春 鈴
空牙のは...私が持って帰るか
しおりと自分の手紙の入った封筒を持つ。そこで封筒の中に違和感を感じた。封筒は明らかに手紙だけでは出来ない膨らみがある。
風春 鈴
ん?
封筒を開けると、中には手紙の他に、ケースに入ったCDが入っていた。
風春 鈴
こんなの入れたっけ...
夏巳 空牙
気づいた頃か...
倉庫の中に1つの発砲音が響いた。

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