アキは、資料を広げてそれぞれの資料に書かれていることについて細かく説明し始めた。
そう言われて、もう一度何枚かの資料に目線を移す。山程の資料という訳でも無いが、1枚1枚にびっしりと端から端まで文字が打たれている。
しかし、話していても時間は進むので、近くにあった資料を手に取り、読み始めた。その資料には、最近起きた殺人事件や強盗事件について書かれていた。
一通り見た後、別の資料にも目を通す。次の資料は、車で轢かれて死亡した事件だった。ニュースでは、有名な組織の構成員だった為、敵に殺されたのでは?と言われていた。
そういえば...と思い、同じく資料を見ているアキに声をかける。
そう聞くと、アキは資料から目を離し、こちらを見た。
アキは諦めた顔で言うと、また資料に目線を戻した。
アキが資料を見たまま付け足した。
色々疑問だったことが解けて、私も資料をまた読み始めた。
私の声が聞こえていたのか冬香がこちらを向いて、問いを投げかける。
天牙は、有名な反社であり、犯罪組織。4年程前から活動し、今では日本1の力のある反社と言われている。そして、警察でも天牙の情報は集めるのに苦労するらしく、トップは勿論、幹部の情報は一切手に入って無いという、とてつもなく用心深い組織。
冬香の言葉でアキが慌てていた理由がようやく分かった。天牙は、詐欺、強盗、殺人、薬など他にも沢山の犯罪を行っている犯罪組織。そんな組織に居れば、どれだけ下級構成員だとしても、なんらかの犯罪には関与してる可能性がある。
アキの言葉に部屋の空気が重くなる。私は下を向き、冬香は口に手を当てている。アキは、唇を噛み締めていた。
夏巳 空牙....私達の幼馴染で現在行方不明の人物。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。