道枝くんからの電話は、掴めない内容だった。
進学にした?
うん
どこ行きたいの?
大学
何大学とかないの?
菊池風磨の背中を追って、慶應かな。
マジで言ってんの?
なんで?わかんないけど。原子とか小さい世界を学びたい
へぇ
しゅんすけは?どーすんの?
迷ってる。大学行きたい気はするけど、仕事の事とか、咲の事とか。
咲は、阪大やろ?昔からずっと言ってる
うん。
あたしは、反対で、大阪から出たいだけや。
そんなこと、恭平くんが知ったら、首へし折られそう、、、ふふふ
せやな
なぁ、あなた
ん?
ありがとうな、電話、時々掛けてもええ?
いや、あかんと思うよ
なんで?
あたし、今日恭平くんに会ってなくて、、、寂しいから。こんなこと、続けてたら、しゅんすけのこと、好きになってまう
いいんちゃうの?
いやや。恭平くんの気持ち思うと、、、ほら!会いたくなっちゃうから、やめて!!
は?
こんな時間に会いたいってなると、大変なの!!あたし、自転車乗れないから!!
高橋、もう帰ってると思うよ?
マジか、行ってくる。
やめろって、こんな時間やぞ?
だって。泣けてきちゃう、、、明日の夕方まで会えないなんて!!
まぁ、明日ね。またのろけ話聞かせて。
うん、じゃーね
ポロポロ、涙が出てる、、、
がちゃん、、、
むぎゅーーーー♡
むぎゅーーーー♡
ちゅ♡
ちゅ♡
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!