まともな言葉を発したのは、2週間後だった。
娘が復活した。
引きこもりから、復活した。
教会のこと、思い出したんだろうか。
母親が亡くなり、親戚回されて、博多に引き取った時、ちょうどイベントがあって。花いっぱいの教会に行ったんだ。
赤いリュック背負って、花のついたサンダル履いてたんだ。
博多に来てはじめて、ぱーーっと顔が晴れたんだ。
あの時みたいな笑顔をもう一回、見たい。
課長、どうしたんですか?珍しい。どんどん帰って。
いってらっしゃいよ!!ちゃんとおしゃれして行ってよ!!
1日、部下が応援してくれた。
4時半からは、カウントダウン。
早く帰れ、早く帰れって。
オレのかわいい娘は、金髪になってた。
うきちゃんやん??
復活しすぎや!!
まじ泣き、、、
2人でおしゃれして、まず、、あの教会へ。
ライトアップされてて、本当に綺麗。
教会に入ると、空気が変わる。
あの頃の辛かった事を思い出す。
人生終わった、と思ってたけど、、、結構いい事もあったよ。あなたのこと、どうしたらいいかな。
ちゃんと大人として生きられる力をつけさせなきゃいけない。どうしたらいい?うきちゃん、オレどうしたらいい?
その時、聞き慣れた声にハッとする。
あなた!!
あなたが恭平に駆け寄る
むぎゅーーーー
ちゅ♡
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!