第21話

出口
584
2021/06/08 22:26
莉犬
莉犬
りけん
りけんー?
そっ…
莉犬
莉犬
りけん?
現実の正体
ここは農園で
莉犬
莉犬
りけん…?
僕達は
バッ
莉犬
莉犬
ハアッハアッ
僕達は鬼に飼われる
食用人間
殺される
莉犬
莉犬
(心の声  いや逃げるんだ  もう誰も殺させない!!)
カチカチカチ
ふたば
ふたば
おっはよー!!
ころん
ころん
こら
ふたば走らない!
さあや
さあや
これはこっち?
ゆり
ええ
お願い
ゆり
みおはお皿並べて
みお
みお
はいママー
いつもの朝
まるで全部夢だったみたい
さとみ
さとみ
おはよう莉犬!
ななもり
ななもり
おはよう!
でも夢じゃない
莉犬
莉犬
おはよう!ななもり、さとみ
昨晩
ななもり
ななもり
「いい?莉犬」
さとみ
さとみ
「普段通り振る舞うんだ」
莉犬
莉犬
……
ななもり
ななもり
「僕達は今夜規則を破って門へ行った」
さとみ
さとみ
「でも何も見なかった」
ハッ
莉犬
莉犬
「!けど……苺のストラップ」
ななもり
ななもり
「うん…ママは見つけて不審に思うだろうね」
さとみ
さとみ
「だからと言って誰の仕業かまでは判らない」
ななもり
ななもり
「行ったこと  知ったこと  逃げること」
さとみ
さとみ
「何1つこちらから明かすことはない」
全員
全員
いただきます
莉犬
莉犬
(心の声  顔に出せばママは気づく)
ピ
ななもり
ななもり
(心の声 だから今は)
さとみ
さとみ
(心の声 まだ誰にも言わない)
ピッ
全員
全員
ななもり、さとみ、莉犬
(心の声 僕/俺達だけで見つけるんだ!!ここから抜け出す方法を…!!)
ななもり
ななもり
眠れた?
莉犬
莉犬
うん
でもいつもより早く起きちゃった
莉犬
莉犬
今朝初めて気づいたけどハウスの格子窓
さとみ
さとみ
内側からは届かない位置で固定してある上 ネジ穴が潰してある
あれは檻だ
日常に潜む「意図」
好き嫌いなく食べられるおいしい餌
汚れの目立つ白い服も
規則正しい生活も
全て商品(ぼくたち)の品質(いのち)を保つため
莉犬
莉犬
テストは?
ななもり
ななもり
食用(ぼくら)に教育は必要ない
さとみ
さとみ
むしろ鬼にとっては危険なはず…
『また6歳此の所並の出荷が…』
それに多分年齢や成績(スコア)が肉の等級(ランク)に関係してる
『そろそろこのフルスコア7匹…』
でも
莉犬
莉犬
なんで?テストでいい点取っても肉はおいしく…ならないよね?
ななもり
ななもり
分からない
分からないことだらけだ
さとみ
さとみ
ハウスを…世界を…俺らは知っていたつもりで何も知らない
ななもり
ななもり
(心の声 今!!外はどうなっている!?)
莉犬
莉犬
ーーー思えば21世紀も半ば……なのにテレビどころかラジオもない 檻の内側は時代錯誤のつくり物…
ななもり
ななもり
知っているのは
さとみ
さとみ
鬼が揃え整えた
箱庭(セカイ)
莉犬
莉犬
本当の世界は
ななもり
ななもり
「外」は未知!!
知らなければそして逃げなければ…!!
ななもり
ななもり
今はまずママより…
さとみ
さとみ
ママより先に手を打ちたい
ななもり
ななもり
分かることから片付けよう
莉犬
莉犬
(。_。`)コク
さとみ
さとみ
情報を整理しよう
ななもり
ななもり
りけんの前があすむ
莉犬
莉犬
その前はあゆな
さとみ
さとみ
今までの周期から考えて次の出荷は恐らく最短で2ヶ月後
ななもり
ななもり
それまでに全員で脱出できる方法を考え出さなければならない
さとみ
さとみ
敷地を簡略に表すと
ハウスを中央に「門」そして周りを取り囲む「森」
ななもり
ななもり
まずは出口「門」か「森」か
莉犬
莉犬
森から
門は出荷時以外閉まってる
さとみ
さとみ
うん それに開くときには鬼がいる
ななもり
ななもり
次に時間帯
ママがいない「出荷の夜」か俺達が自由に屋外へ出られる「昼間の遊び時間」
さとみ
さとみ
出荷の夜はダメだね
必ず1人が犠牲になる
莉犬
莉犬
ーーだね
ななもり
ななもり
第一夜は年少者達が起きていられるか心配だ
莉犬
莉犬
だね
シャッ
さとみ
さとみ
決まり
昼間森を抜けて外へ出る
ななもり
ななもり
それが可能かどうかは
莉犬
莉犬
森の先がどうなっているかによるね
さとみ
さとみ
行こう
行って確かめよう
ななもり
ななもり
(。_。`)コク
莉犬
莉犬
(。_。`)コク
ダッ
さとみ…
さとみ
さとみ
ママ…
そう言葉にしたあの時
さとみの手震えていた
平気なはずない
ママは僕達にとってたった1人の母親だったのだから
さとみ
さとみ
恐ろしい…
ななもり
ななもり
(心の声 ママこそ顔に出していない今まで1度も!)
今朝も何一つ変わらない穏やかな笑顔
あの笑顔の裏で何人の子供を死へ導いて来たのか
ママは敵
鬼の冷酷な配下
じゃあなんで?
なんであんなに優しくしたの?
ーーーママ!
さとみ
さとみ
塀だ
莉犬
莉犬
高いね…
ななもり
ななもり
でも見張りはいない
さとみ
さとみ
諦めさせる塀だけど
莉犬
莉犬
僕やななもりとさとみならロープ一本あれば上れると思う
さとみ
さとみ
うん
問題はどうやって全員を連れ出すか
見張りはママ1人
ななもり
ななもり
……
周りに鬼の気配はしない
そんなものか?
いや 考えてみれば表向きはあくまで孤児院
子供が気づくこと自体ないのが当然ーーーならばこの農園は逃亡を前提には造られていない?
ともかく阻むのは硬くて高い塀1つ
さとみ
さとみ
ともかく
ななもり
ななもり
この塀は越えられる!!
ロープさえあれば
莉犬
莉犬
次はロープ!
無理じゃない
全員で逃げること
莉犬
莉犬
やばい!そろそろ戻らないと!
タタタ
カランカラン
ゆり
みんないる?
ころん
ころん
あれ?2人足りない?
莉犬
莉犬
(心の声  間に合った…!)
ころん
ころん
いないのは
みおと…
さあや
さあや
ママーッ
ゆり
さあや!
何かあったの?
さあや
さあや
どうしよう…ヒック
森でみおとはぐれちゃった!!
いっぱい探したけど見つからない。゜(´∩ω∩`)゜。
もう日が暮れる…すぐに真っ暗だよ
ゆり
……
懐中時計を開く
ゆり
大丈夫よ
みんなここから動かないでいいわね?
さあや
さあや
ママ…
しばらくすると
ふたば
ふたば
ふたば
ふたば
ママ!
さあや
さあや
みお!
ゆり
疲れて眠っちゃったのね
ほら怪我1つないわ
みお
みお
( ˘ω˘ )スースー…
さあや
さあや
よかったぁ…
˚‧·(´ฅωฅ`)‧º·
ごめん…!
ごめんねみお
さとみ
さとみ
早い…
ななもり
ななもり
早すぎる…
莉犬
莉犬
ママはまるでみおがどこにいるか分かっているみたいだった
ーーーそういえば昔からママは僕達を見つけるのが得意だった
どこにいても見つけてしまう
ゆり
見いつけた
あれは時計じゃない……
莉犬
莉犬
発信器…

プリ小説オーディオドラマ