りけん
りけんー?
そっ…
りけん?
現実の正体
ここは農園で
りけん…?
僕達は
バッ
ハアッハアッ
僕達は鬼に飼われる
食用人間
殺される
(心の声 いや逃げるんだ もう誰も殺させない!!)
カチカチカチ
おっはよー!!
こら
ふたば走らない!
これはこっち?
ええ
お願い
みおはお皿並べて
はいママー
いつもの朝
まるで全部夢だったみたい
おはよう莉犬!
おはよう!
でも夢じゃない
おはよう!ななもり、さとみ
昨晩
「いい?莉犬」
「普段通り振る舞うんだ」
……
「僕達は今夜規則を破って門へ行った」
「でも何も見なかった」
ハッ
「!けど……苺のストラップ」
「うん…ママは見つけて不審に思うだろうね」
「だからと言って誰の仕業かまでは判らない」
「行ったこと 知ったこと 逃げること」
「何1つこちらから明かすことはない」
いただきます
(心の声 顔に出せばママは気づく)
ピ
(心の声 だから今は)
(心の声 まだ誰にも言わない)
ピッ
ななもり、さとみ、莉犬
(心の声 僕/俺達だけで見つけるんだ!!ここから抜け出す方法を…!!)
眠れた?
うん
でもいつもより早く起きちゃった
今朝初めて気づいたけどハウスの格子窓
内側からは届かない位置で固定してある上 ネジ穴が潰してある
あれは檻だ
日常に潜む「意図」
好き嫌いなく食べられるおいしい餌
汚れの目立つ白い服も
規則正しい生活も
全て商品(ぼくたち)の品質(いのち)を保つため
テストは?
食用(ぼくら)に教育は必要ない
むしろ鬼にとっては危険なはず…
『また6歳此の所並の出荷が…』
それに多分年齢や成績(スコア)が肉の等級(ランク)に関係してる
『そろそろこのフルスコア7匹…』
でも
なんで?テストでいい点取っても肉はおいしく…ならないよね?
分からない
分からないことだらけだ
ハウスを…世界を…俺らは知っていたつもりで何も知らない
(心の声 今!!外はどうなっている!?)
ーーー思えば21世紀も半ば……なのにテレビどころかラジオもない 檻の内側は時代錯誤のつくり物…
知っているのは
鬼が揃え整えた
箱庭(セカイ)
本当の世界は
「外」は未知!!
知らなければそして逃げなければ…!!
今はまずママより…
ママより先に手を打ちたい
分かることから片付けよう
(。_。`)コク
情報を整理しよう
りけんの前があすむ
その前はあゆな
今までの周期から考えて次の出荷は恐らく最短で2ヶ月後
それまでに全員で脱出できる方法を考え出さなければならない
敷地を簡略に表すと
ハウスを中央に「門」そして周りを取り囲む「森」
まずは出口「門」か「森」か
森から
門は出荷時以外閉まってる
うん それに開くときには鬼がいる
次に時間帯
ママがいない「出荷の夜」か俺達が自由に屋外へ出られる「昼間の遊び時間」
出荷の夜はダメだね
必ず1人が犠牲になる
ーーだね
第一夜は年少者達が起きていられるか心配だ
だね
シャッ
決まり
昼間森を抜けて外へ出る
それが可能かどうかは
森の先がどうなっているかによるね
行こう
行って確かめよう
(。_。`)コク
(。_。`)コク
ダッ
さとみ…
ママ…
そう言葉にしたあの時
さとみの手震えていた
平気なはずない
ママは僕達にとってたった1人の母親だったのだから
恐ろしい…
(心の声 ママこそ顔に出していない今まで1度も!)
今朝も何一つ変わらない穏やかな笑顔
あの笑顔の裏で何人の子供を死へ導いて来たのか
ママは敵
鬼の冷酷な配下
じゃあなんで?
なんであんなに優しくしたの?
ーーーママ!
塀だ
高いね…
でも見張りはいない
諦めさせる塀だけど
僕やななもりとさとみならロープ一本あれば上れると思う
うん
問題はどうやって全員を連れ出すか
見張りはママ1人
……
周りに鬼の気配はしない
そんなものか?
いや 考えてみれば表向きはあくまで孤児院
子供が気づくこと自体ないのが当然ーーーならばこの農園は逃亡を前提には造られていない?
ともかく阻むのは硬くて高い塀1つ
ともかく
この塀は越えられる!!
ロープさえあれば
次はロープ!
無理じゃない
全員で逃げること
やばい!そろそろ戻らないと!
タタタ
カランカラン
みんないる?
あれ?2人足りない?
(心の声 間に合った…!)
いないのは
みおと…
ママーッ
さあや!
何かあったの?
どうしよう…ヒック
森でみおとはぐれちゃった!!
いっぱい探したけど見つからない。゜(´∩ω∩`)゜。
もう日が暮れる…すぐに真っ暗だよ
……
懐中時計を開く
大丈夫よ
みんなここから動かないでいいわね?
ママ…
しばらくすると
あ
ママ!
みお!
疲れて眠っちゃったのね
ほら怪我1つないわ
( ˘ω˘ )スースー…
よかったぁ…
˚‧·(´ฅωฅ`)‧º·
ごめん…!
ごめんねみお
早い…
早すぎる…
ママはまるでみおがどこにいるか分かっているみたいだった
ーーーそういえば昔からママは僕達を見つけるのが得意だった
どこにいても見つけてしまう
見いつけた
あれは時計じゃない……
発信器…
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