第36話

仲間
43
2018/02/18 06:11
廊下を1人歩きながら考える。暁くんを呼び出してみようか、いや呼び出す手段がない。ならば靴箱に入れておくか、いや他の人には見つかりたくない。いっそのこと暁くんには渡さず愛海には嘘をつこうか、それは…ダメだ。
橘 優羽 タチバナユウ
もー…どうすれば。
外からは運動部の声が聞こえ始めた。暁くんもサッカー部に行ったのだろうか。
他クラス
私、彼氏に渡したよ!
他クラス
いいなー。私も好きな人に渡したかったー。
他クラス
渡しちゃえばよかったのにー。
すれ違った他クラスの人達がそんな会話をしながら通り過ぎて行った。彼氏に渡した人、片思いの相手に渡した人、渡したくても渡せなかった人、色んな人がいるんだと改めて思う。それなら自分はどうなのか。作ってきているのに渡せない人も中にはいたのかもしれない。ならば私もその仲間に入ればいいのではないか。
『人はみんな違うし、同じじゃつまんないよ。』
暁くんの言葉が脳裏に蘇る。
橘 優羽 タチバナユウ
本当にこれでいいのかな…。
私は歩く足を早めた。

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