清春の名前を呼ぶ可愛い声で目が覚めた。
目を開けると、小太郎はまだ清春の腕の中にいた。
満足そうな笑顔をしていた。
荷物をまとめて出る準備をした。
窓の柵に手をつき、小さい声で呟いた。
振り向いた小太郎の頬に手を添えて、そっと小太郎に口付けた。
小太郎の顔と耳が真っ赤に染め上がった。
自分でもすごく恥ずかしくて目を逸らしながらそう言った。
恥ずかしそうにうつむいている清春の背中に抱きついた。
「今日だけ」と何回言ったのだろう。
その言葉を言うと、少しだけ積極的になれる。まるで魔法の言葉だ。
結局、小太郎に煽られたけど仕方ないから「今日だけ」許すことにする。
その後、旅館を出てみんながいる家に帰った。
そんな会話を続けていた。
けど、その幸せは長く続かなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。