第33話

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2021/06/09 17:06
小太郎
小太郎
…ょ……きよ…
清春
清春
ん……
小太郎
小太郎
きよ……
清春
清春
……!!
清春
清春
こた?!
小太郎
小太郎
きよ…
小太郎
小太郎
きよ…
弱々しい声で清春の名前を呼んだ。
清春
清春
よかったっ…
清春
清春
ほんまによかった……
安心して肩の力が一気に抜けた。
小太郎
小太郎
きよ……
清春
清春
まだ起きたばっかなんやから
清春
清春
あんま喋らんほうがええで
小太郎
小太郎
……ごめんね…
小太郎が謝り始めた。
清春
清春
もうええから寝て休んどき
清春
清春
まだ具合悪いやろ?
小太郎
小太郎
ごめん……
清春
清春
大丈夫やから泣くなって
小太郎
小太郎
ちがうっ……
謝る分だけ涙が増えていった。
清春
清春
なしたん?
清春
清春
そんな泣かんでええんやで…
小太郎の華奢な背中を優しくさすった。
小太郎
小太郎
っ…忘れてて…っ…ごめんね……
清春
清春
え……
清春
清春
こたろ、今なんて…
小太郎
小太郎
きよのこと…
小太郎
小太郎
忘れててごめんなさい…っ
ボロボロと涙を流しながら謝る小太郎。
「忘れててごめんなさい」
間違いなくそう言った。
頭の中が真っ白になった。
信じ難いことが起きている。
清春
清春
…っ…ほんまに思い出したん……?
申し訳なさそうにゆっくり控えめにコクンと頷いた。
小太郎
小太郎
ごめんなさいっ……
小太郎はひたすら泣きじゃくった。
清春のことを完全に思い出している。



瞬間、不安げに震える小太郎を抱きしめた。
小太郎
小太郎
っ…離して……
小太郎
小太郎
僕なんかに触らないでっ……
清春
清春
やだ…
清春
清春
ずっと小太郎にハグしたかったっ……
小太郎
小太郎
本当にごめんなさいっ……
清春
清春
思い出してくれたんやからもう謝らんくてええよ…
小太郎
小太郎
っ…うん…
小太郎
小太郎
ありがとう…っ
清春
清春
うんっ……
小太郎が自分の元にやっと戻ってきた。
こうして腕の中にいる幸せを噛み締めた。
小太郎
小太郎
清春…
清春
清春
ん…どうした?
身体を離し小太郎に顔を向けた。
すると、小太郎の可愛い顔が近づき、一瞬で唇を奪われた。
清春
清春
っ!!
小太郎
小太郎
前はきよからしてくれたしょ…?
恥ずかしそうにはにかんだその幸せで満ち溢れた笑顔を、二度と手放さないと心に誓った。
清春
清春
っ……小太郎…
清春
清春
好きだよ…
小太郎
小太郎
うんっ…僕も好き……
小太郎
小太郎
大好き
ずっと小太郎にそう伝えたかった。
互いの涙が肩を濡らした。


早朝の光がさす、静かな部屋で2人は泣いた。

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