7月17日、土曜日。
この日、都市伝説調査クラブの、芽衣を除いた5人が集まっていた。
その場にいる全員が、「え?」という顔で璃那を見た。
その言葉を聞いた途端、全員が絶句した。
華風や白夜に至っては、ぽかーんと口を開けて璃那を見ていた。
その言葉を聞いた瞬間、華風は思いついたかのように笑った。
華風が、後ろから璃那に抱きついて、頭をわしゃわしゃと撫で始めた。
その華風の行動から他の3人も華風がやろうとしていることを察し、全員で璃那を囲んで抱きつくような形になった。
よしよし、と言いながら華風は璃那の頭を撫でていた。
撫でられている当の本人の璃那は、少し唖然とした後、「ふはッッw」と吹き出した。
そういうと璃那は、抱きついている4人を押しのけて離させる。
そういうこと、と納得したように璃那以外の4人は頷いた。
そうして5人は、まずショッピングモールに行こうと、歩き始めた。
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数十分後、ショッピングモールにて
そう言って璃那が手に取ったのは、白い無地のワンピース。
璃那が無地のワンピースを選んだことに2人は驚いたようだった。
そう言って侑乃は、そのワンピースの上の方を見た。
ワンピースを見ながら悩んだように璃那はそう言って、ワンピースを戻した。
結局その後、気に入ったものは見つからず、璃那は諦めたように「もういいや」と言った。
そう言いながら3人は服屋さんを出て、服屋の前で待っていたアラと白夜と合流した。
そんな会話をして、結局のところゲーセンに行った6人は、5時半まで楽しんだ。
そして、その帰り道。
そう言いながら、マンションの横を歩いていると、上から悲鳴が聞こえてきた。
「避けて、避けてーーッッ!!」と。
侑乃が不思議そうに上を見ると、なにかが落ちてきていた。
茶色い何か。…植木鉢だった。
あれは。あれが落ちてきたら、璃那に当たる。
でも、璃那は気づいてない。立ち止まって芽衣に連絡してるようだった。
ただし、侑乃が助けに入るには、時間が無い。
璃那は上から降ってくる植木鉢を確かに見た。でも、璃那は動こうとしなかった。
恐怖で動けなかったのだ。
璃那はしゃがんで頭を抱えた。
するとその時。
────パシンッッ!!
なにかが、勢いをつけて飛んで、植木鉢を弾いたのを、璃那以外の4人は見た。
黒いなにか…男の子のように見えるその何か。
”それ”は、璃那を見てそう呟いたあと、侑乃達の方を向いた。
その少年は真っ黒だが、目だけがオレンジ色で……
どことなく、侑乃に似ていた。
”それ”は、少し目を細めて、侑乃を睨んでいるようだった。
アラが驚くのも当然だった。普段は霊の声なんて、自分以外には聞こえていないのに、当然のように話しているから。
その黒い霊と、侑乃が同時に反応した。
璃那は、黒い霊にそう言った。
すると黒い霊はにこっと笑って消えていった。
その場がシーン…と静まり返る。
すると璃那は立ち上がって、
低い声でそう呟いて、先を歩いて行った。そんな璃那の後ろ姿に黒い霊が5人憑いているのを、侑乃達は見た。
華風が璃那に声をかけると、璃那……ではなく、その黒い霊たちが振り返った。
どことなく、自分たちに似ている霊を見て、4人は恐怖を感じていたのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。