ここは、蓬生中央高校学校、都市伝説調査クラブの部室
部活とも言い難いため部室というのもなんだが。
6人という少ないメンバーで、一応毎日活動している。
チラシとかを作って貼ってみたりするが、どうにも依頼者が来ないためやっているのはほぼ雑談なのだが。
そして、「暇」と言いながら、書くことの無い日誌のようなものを書いているこの人物が、このクラブの副部長である、3年2組の彼方 侑乃。
そう言いながら、侑乃の前に、向き合うような形で座ってスマホを扱っているのが、このクラブの部長、3年1組の黄蘗 璃那。
ちなみに、髪の毛は染めた訳ではなく、本人曰く地毛だとのこと。その証拠に、母親も同じ髪色である。
父親は普通に黒髪だが、髪色に関しては母親に似たらしい。
そう言い、堂々とSwi○chで遊んでいるのが、2年3組の八雲 アラ。
ちなみに、蓬生中央高校の校則では、スマホは持ってきていいがゲーム機はもちろん駄目である。つまり彼女は堂々と校則違反をしているのだ。
そう言いながらもゲームを続けるアラ。やめるつもりはなさそうである。
そう、璃那の言う通り、都市伝説調査クラブには顧問がいないのである。
なぜなら、璃那と侑乃が「顧問は結構ですので、都市伝説調査クラブを作らせてください!!」と、校長先生に頭を下げてお願いしたからだ。
本来ならば、顧問が居なければいけないため、”書面上は”いることになっているのだ。
だが、その顧問は他の部活の顧問をしているため、ここには来ない。
依頼すら来ないのだ、先生が居たってなんの意味もない。
…だから、アラも堂々と校則違反をしているし、なんならここには上下関係もあまり存在していない。
そして、たった今大きな声を出しながら部室に入ってきたのが、2年2組、蓬莱 華風。
少し前に、璃那が「悪いけど、下足場のとこの掲示板にこのポスター貼ってきてくれへん?」と頼んだ人物である。
と、華風と璃那が話していた時、
部室に入って短くそう言っては椅子に座る、この少年こそが、先程話していた白夜…
3年1組の来栖 白夜である。
もはやテンプレと化してきている会話を済ませて、璃那は侑乃の方に目線を向ける。
侑乃が書いている日誌は、実は昨日のもの。
昨日は、担当だったもう1人のメンバーが休みだった為、代わりに今、日誌を書いているのだ。
…だがしかし、昨日も雑談をしただけ。何もしていないのに何を書けと言うんだ、という話である。
侑乃は「うーん…」と小さく呟きつつ、日誌の内容を考えているようだった。
顧問に見せるため、「雑談をして終わった」とは書けない。
しかし、彼女たちは嘘は一切書いていない。本当のことをそれっぽく書いて誤魔化しているのだ。
そう言い、侑乃は璃那に書いた日誌を見せる。いつもとほぼ変わらない内容だが、書く人が変わるだけで違うことをしているように見える。不思議な話だ。
ちらっと日誌を見て、まぁそれっぽいだろうと思い璃那は許可をだす。その反応を見て侑乃は、「良かった…」というような安堵の表情を浮かべていた。
その表情の理由としては、書き直し、なんてことになったら面倒極まりないから、なのだが。
そう言って、部室に紙の束を持ってきたのは、1年3組、黄蘗 芽衣である。
彼女は、3年生であり、部長である璃那の妹。
しかし、璃那とは違って、髪の色は父親に似たらしい。
目の色も同じく父親に似ていて、璃那とは大違い。
姉妹だと言っても信じてもらえないことが多々ある。
芽衣が机の上に置いたのは、結構な枚数があるチラシ。
時々学校で休み時間に配っているものである
机の上に置かれた束を見て、あからさまに嫌そうな顔をするアラ。
その璃那の言葉に、全員が「了解」と返事をしていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!