前の話
一覧へ
次の話

第1話

都市伝説調査クラブ
219
2021/06/13 04:58
ここは、蓬生中央高校学校、都市伝説調査クラブの部室
部活とも言い難いため部室というのもなんだが。

6人という少ないメンバーで、一応毎日活動している。
チラシとかを作って貼ってみたりするが、どうにも依頼者が来ないためやっているのはほぼ雑談なのだが。
彼方 侑乃
彼方 侑乃
いやぁ…暇。
ってか、日誌何書けばええの
そして、「暇」と言いながら、書くことの無い日誌のようなものを書いているこの人物が、このクラブの副部長である、3年2組の彼方 侑乃おちかた ゆの
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
なんか書いときゃええねん。書くことないのはしゃーない。
でも頑張って書けよ?昨日の分の担当引き受けたんはお前なんやから
そう言いながら、侑乃の前に、向き合うような形で座ってスマホを扱っているのが、このクラブの部長、3年1組の黄蘗 璃那きはだ りな
ちなみに、髪の毛は染めた訳ではなく、本人曰く地毛だとのこと。その証拠に、母親も同じ髪色である。
父親は普通に黒髪だが、髪色に関しては母親に似たらしい。
八雲 アラ
八雲 アラ
俺らもいっつも書くことないしやることもないのに頑張って捻り出して書いとんのやからな
そう言い、堂々とSwi○chで遊んでいるのが、2年3組の八雲 アラやくも あら
ちなみに、蓬生中央高校の校則では、スマホは持ってきていいがゲーム機はもちろん駄目である。つまり彼女は堂々と校則違反をしているのだ。
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
いや…そろそろお前は校則違反やめようか?
Swi○chは駄目や、Swi○chは。
八雲 アラ
八雲 アラ
へいへーい
そう言いながらもゲームを続けるアラ。やめるつもりはなさそうである。
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
はぁ…顧問とかいないからまだええけど…バレた時俺らが責任とらされそうやから嫌なんやが
そう、璃那の言う通り、都市伝説調査クラブには顧問がいないのである。

なぜなら、璃那と侑乃が「顧問は結構ですので、都市伝説調査クラブを作らせてください!!」と、校長先生に頭を下げてお願いしたからだ。

本来ならば、顧問が居なければいけないため、”書面上は”いることになっているのだ。
だが、その顧問は他の部活の顧問をしているため、ここには来ない。
依頼すら来ないのだ、先生が居たってなんの意味もない。

…だから、アラも堂々と校則違反をしているし、なんならここには上下関係もあまり存在していない。
蓬莱 華風
蓬莱 華風
りーなー!!!ポスター貼ってきたよー!!
そして、たった今大きな声を出しながら部室に入ってきたのが、2年2組、蓬莱 華風ほうらい かえ
少し前に、璃那が「悪いけど、下足場のとこの掲示板にこのポスター貼ってきてくれへん?」と頼んだ人物である。
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
おー。ご苦労さま、あ、白夜見てへん?白夜にも頼んだんやけど
蓬莱 華風
蓬莱 華風
白夜ー?わいが帰る時にポスター貼ってたで?
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
…寄り道はしてなさそうやな、ならええわ
と、華風と璃那が話していた時、
来栖 白夜
来栖 白夜
ただま、貼ってきたで
部室に入って短くそう言っては椅子に座る、この少年こそが、先程話していた白夜…
3年1組の来栖 白夜くるす びゃくやである。
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
…お、噂をすれば。おかえり、ちゃんと貼ってきたやろうな?
来栖 白夜
来栖 白夜
勿論。言われた通りまっすぐ、綺麗に貼ってきたで
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
そか、偉い偉い
もはやテンプレと化してきている会話を済ませて、璃那は侑乃の方に目線を向ける。
侑乃が書いている日誌は、実は昨日のもの。
昨日は、担当だったもう1人のメンバーが休みだった為、代わりに今、日誌を書いているのだ。

…だがしかし、昨日も雑談をしただけ。何もしていないのに何を書けと言うんだ、という話である。

侑乃は「うーん…」と小さく呟きつつ、日誌の内容を考えているようだった。
顧問に見せるため、「雑談をして終わった」とは書けない。
しかし、彼女たちは嘘は一切書いていない。本当のことをそれっぽく書いて誤魔化しているのだ。
彼方 侑乃
彼方 侑乃
…よし、出来た。こんなんでいいやろ?
そう言い、侑乃は璃那に書いた日誌を見せる。いつもとほぼ変わらない内容だが、書く人が変わるだけで違うことをしているように見える。不思議な話だ。
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
んー。ええよ、そんなんで
ちらっと日誌を見て、まぁそれっぽいだろうと思い璃那は許可をだす。その反応を見て侑乃は、「良かった…」というような安堵の表情を浮かべていた。
その表情の理由としては、書き直し、なんてことになったら面倒極まりないから、なのだが。
黄蘗 芽衣
黄蘗 芽衣
…ふぅ…印刷、終わったよ、お姉ちゃん
そう言って、部室に紙の束を持ってきたのは、1年3組、黄蘗 芽衣きはだ めいである。
彼女は、3年生であり、部長である璃那の妹。
しかし、璃那とは違って、髪の色は父親に似たらしい。
目の色も同じく父親に似ていて、璃那とは大違い。
姉妹だと言っても信じてもらえないことが多々ある。
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
おー、お疲れさん、重かったろ?
黄蘗 芽衣
黄蘗 芽衣
まぁ、ちょっとね‪w
芽衣が机の上に置いたのは、結構な枚数があるチラシ。
時々学校で休み時間に配っているものである
八雲 アラ
八雲 アラ
…げッッ…またそれ配るん…?ついこの間配ったやん…
机の上に置かれた束を見て、あからさまに嫌そうな顔をするアラ。
蓬莱 華風
蓬莱 華風
まぁ…依頼人が来ないからしょうがない、ってことなんやろ…
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
そういうこと。そろそろ俺らも、ちゃんとした活動をしていかないけんやろ?
何もせんで高校生活終わるのは勘弁して欲しいし
彼方 侑乃
彼方 侑乃
…まぁ、確かに、3年間ほぼ何もしてない
1年の時は何回かあったけど…2年からまっっっったく無くなったな
黄蘗 璃那
黄蘗 璃那
…ってことで、明日はこれを休み時間と放課後に配布。
今日は…また依頼人を待ってようか
その璃那の言葉に、全員が「了解」と返事をしていた。

プリ小説オーディオドラマ