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2021/11/08

第8話

推しが尊いを体現している件。
魔法学園に行くために、ケントくんと一緒に家の門の外に出た。
昨日は、こっちの世界にやってきたばかりで、周りを見る余裕はなかった。
(なまえ)
あなた
(うわあ……)
(なまえ)
あなた
(まさに、ファンタジーの世界って感じ……)
道路には、信号機はひとつもない。
街灯は、よく見たらガス灯。
走っているのは、自動車じゃなくて馬車。
(なまえ)
あなた
(魔法が当たり前にある世界だから、移動手段も別の楽な方法がありそうだけどなぁ)
ケント
ケント
あなた、どこ行くんだ。ここでじっとしてろって
(なまえ)
あなた
あっ、はい!
家の前からフラッと歩き出そうとしたら、ケントくんに呼び止められた。
間もなくして、家の前で馬車が止まった。
(なまえ)
あなた
(ケントくんも馬車で行くんだ)
(なまえ)
あなた
(そっか。漫画で徒歩通学してたのは、家が没落して平民になったからか)
この世界のことを知っているとはいえ、ふとしたことで漫画との違いに戸惑ってしまう。
ケント
ケント
行くぞ
(なまえ)
あなた
は、はいっ!
ケントくんにいで、馬車に乗り込む。
隣に座るけど、思った以上に狭くて、近い。
(なまえ)
あなた
(肩と肩が触れそう……)
(なまえ)
あなた
あの、ありがとうございます。私まで、乗せてもらっちゃって
ケント
ケント
当然だろ。外は危険なんだ
ケント
ケント
ひとりにはなるなよ。そばにいろ
(なまえ)
あなた
(なまえ)
あなた
は、はい……
(なまえ)
あなた
(やばい、かっこいい)
(なまえ)
あなた
(鼻血出そう……)
(なまえ)
あなた
(推しが尊いを体現して下さる……!)
(なまえ)
あなた
(きっと、他意はないんだろうけど)
馬車の窓のカーテンを、指で少しだけ開ける。
チラッと覗くと、街並みが見えた。
(なまえ)
あなた
(本当だ。女の人は誰も外に出てない)
それだけで、ケントくんが言った意味がよく分かる。
(なまえ)
あなた
(今まで、どれだけの人がさらわれたんだろう)
(なまえ)
あなた
(漫画を読んでいる時は、他人事ひとごとだったけど)
(なまえ)
あなた
(今は、現実……)
ケント
ケント
大丈夫か? 顔色悪いぞ
(なまえ)
あなた
うん、大丈夫……
ケント
ケント
具合悪かったら、帰ってもいいからな。引き返すか?
(なまえ)
あなた
ううん、だって、ケントくんがそばにいてくれるんでしょ?
ケント
ケント
もちろん
(なまえ)
あなた
(本当に、王子様みたい)
学園に着いて、校門前で馬車を降りた。
ケント
ケント
おい、本当に帰らなくてよかったのか?
(なまえ)
あなた
う、うん……。馬車に酔っただけなので……
現代日本の乗り物に慣れきっていた私に、馬車の揺れは辛いものがあった。
(なまえ)
あなた
初めて乗ったから……
ケント
ケント
は? 今どき、珍しい奴だな
ケント
ケント
今まで、どうやって生活してたんだよ
(なまえ)
あなた
(異世界で生活してたなんて、言えない)
フラン
フラン
よ、ケント。知らない子、連れてるじゃん
ケント
ケント
よう、フラン
(なまえ)
あなた
!!
肩まで伸びた髪の毛を、後ろで一本に結んでいる。
タレ目で、ケントくんよりも背が高い。
彼は、ケントくんの肩に手を置いて、私にウインクをした。
(なまえ)
あなた
(フ、フラン!?)
フランも、『ヴァンパイアゲーム』の主要人物のひとり。
ケントくんが討伐隊に入ったのをキッカケに、「おもしろそうだから」と、自身も軽々と入隊試験をクリアして、
後にケントくんの片腕的存在となるキャラ。
一見チャラチャラしていそうで、大事な人を守る時とのギャップが、とても人気があった。
(なまえ)
あなた
(生身のフランにまで会えるなんて……)