第7話

第五話
255
2021/08/12 11:47


小さなアパートの廊下にぽつり取り残された。

花宮あなた
……えっ、どうしよう。
すぐ戻るって言ってたけど、化粧でぐちゃぐちゃになった顔なんてもう見せたくない。




初対面だし、待ってる義理もないよね…。




こっそり自分の部屋行っちゃおう。






ガチャッ!
河野純喜
っごめん!お待たせ!
待っててくれてありがとう
花宮あなた
っわ!
目の前で勢いよく開いた扉に驚く。
河野純喜
わーー!ごめんなさい!
勢いよく開けすぎました…
花宮あなた
っふふ
何故か、ものすごく申し訳なさそうな顔をしてるから自然と笑みが溢れる。



当たってないから全然気にしてないのに。
河野純喜
あ、よかった
花宮あなた
えっ?
河野純喜
あ、いやなんでもなくて……

って、そうじゃなくて!
これ!

と言って差し出された男性の手にはお皿があった。
花宮あなた
河野純喜
あの、よかったらこれ食べて少しでも元気出してください。
突然のことに戸惑いながら、私は男性とお皿を交互に見る。
花宮あなた
あ、カルボナーラ…?
ラップがかけられたお皿にはカルボナーラが乗っていた。
河野純喜
元気が出ないときはとりあえずご飯食べたほうがいいです。
そう言って、もう一度お皿を私に近づける。
花宮あなた
いや、でも、あのっ、こんなの申し訳ないです…。
この男性は初対面の私になぜご飯を分け与えているのか、ただただ不思議だった。
河野純喜
あー、いきなりごめんなさい。怖いですよね。
……ただ、ただ…困ってる人放っておけないんです。
要らなかったら捨ててもらっていいので!




そう言い残して男性は自室に戻ってしまった。

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