第11話

第九話
208
2021/08/13 10:15
河野純喜
すみません、お風呂入ってて…って、
あ!お久しぶりですー!


突然の登場であっけに取られる私に対して、この前と変わらずニコニコと人の良さそうな笑顔を向けている隣の人。




河野純喜
なにかありました?



この前と全く変わらないその態度に、なんで私こんなに緊張してたんだろうって馬鹿馬鹿しくなった。
花宮あなた
あの、お礼遅くなってしまってすみません。
先日は本当にありがとうございました、すっごく美味しかったです。




ごちそうさまでした、とお皿と一緒にクッキー缶が入った紙袋を渡した。




河野純喜
いや、そんな。
というかこんな、受け取れないですよ。


僕が押し付けたもんなんで…。


言いながら紙袋を返そうとする。





花宮あなた
久しぶりにあんなに美味しいもの食べられて、ちょっと落ち込んでたけど元気が出たんです。

言葉だけじゃ足りないからって、……気持ちなので受け取ってください。

ちょっと俯いていた隣の人は、そのまま固まってしばらく動かない。



花宮あなた
えっ、あの……。

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