カランッ。
午後3時過ぎ、お昼のピークを終えた頃に店に来るのはコイツしかいない。
常連客だった瑠姫と仲良くなって、なんでも話す仲になったのはいつからだろう。
そして、週3はここでこいつの顔を見てる気がするのは気のせいか。
瑠姫は地下でアイドル活動をしている。
週3で店にくる暇人、と言いたいがすごく頑張っていることを俺は知ってる。
と、いちごサンドを差し出す。
いただきます、と手を合わせて食べる瑠姫。
こいつ、ほんまに美味しそうに食べんなぁ。
瑠姫の好物であるいちごサンド。
瑠姫が来るときは大体甘いものが食べたいときって知ってるから、何も言われずとも提供する。
これで夜の仕事の糧に少しでもなれば。
早々に食べ終えた瑠姫は
美味しかった、と言い残して店を出て行った。
「美味しい」なんて最高の褒め言葉やんか。
お皿を片付けながら俺は、料理人としての喜びを噛み締めた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。