「あの、、、ありがとうございます。」
「、、、別にいーよ。」
無愛想に返す先輩。
お酒のペースは速いのに、
全然顔も紅くなってなくて、
お酒に強いのが分かる。
「なぁ。」
少し視線をずらして、顔をこちらに向ける。
「はい。」
「一緒に、抜けねぇ?」
「え、でも、、、」
「いーんだよ。2人くらい
居なくたって気づかれねーよ。
すぐ戻ればいーだろ。ほら、行くぞ。」
少々強引な先輩は、立ち上がり、
先に行こうとする。
拒否権無し、、、ね。
仕方なく、立ち上がれば、
一気にお酒が回る感じがして、
少しふらつく。
、、、結構飲んじゃったなぁ。
ただ、どんどん先にいく
先輩を待たせるわけにはいかない。
「せん、ぱい。待ってください。」
「おせーよ。」
あ、やば。
「すみません、、、」
視界がぼやけ、その場に座り込む。
「おい、、、大丈夫かよ。」
「大丈夫、です、、、」
「顔色悪ぃぞ。痩せ我慢すんな。
部長には話通しとく。今日は帰れ。」
私を近くの椅子まで誘導し、座らせると、
先にタクシーを呼び、先輩は、
部長の元へと戻って行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!