コツコツ、と学校指定の靴を地面に鳴らしながら少し早めに歩いていく。
なんで早めかって?
...後ろにいるからだ。先に行ったはずのあの人が。
鞄をもって外に出た瞬間、違和感があった。
もう気配がバレバレなのだ。とても分かりやすい気配をまとって、私を待ち伏せしてる。
私が歩き出すと同時に動く気配。
もう私霊能者になったって位気配が探れる。正直言って自分で自分が怖い。
先に行ったはずなのに...。
もういい、話しかけよう。
そう思って思いっきり振り返り、松慎くんの所へズカズカと歩み寄った。
私が言う言葉に「やっちゃった。」と言う顔で頭をかく松慎くん。
(バレバレだよ...)と思いながらも表情を変えずに松慎くんをまっすぐ見る。
そう言ってしょぼんとした表情を浮かべる松慎くんに少しダメージを受けながら、私は松慎くんをじっと見つめる。
相手ははてなマークを浮かべ、見つめ返してきた。
パァァと顔を輝かせた松慎くんを見て少し微笑むも、(松慎くんはストーカー、松慎くんははストーカー...)と心の中で唱えた。
これからは絶対に関わらない。
と、ストーカーされてるゆえに不可能に近いが、心の中で私は宣言した。
...フラグ回収とはこういうことを言うものだ。
見事に「一緒に帰ろう」と言われてしまい、今後一切関わらないという目標はたった数秒後に不可能と化した。
少し冷たく返してしまったが、松慎くんは動じずに満面の笑みで喜んだ。
とても不思議に思ったけど、ストーカーされるよりかはまし...と思った。
仕方ない。今日くらいは我慢するか。と上から目線だが、心の中で呟いた。
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追記、デイリー30位有難うございます!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!