ピーンポーン。
朝、起きて朝食食べているときに家のチャイムがなって思わず喋ってしまった。
その様子を見て兄が笑った。
笑っていたから少しイラついてしまったけど兄が「ごめんって。」とイケメンスマイルで言うから一気に機嫌がなおってしまった。
もしかして私もブラコン?
いやいや、そんなわけないです。多分
ピッと言う音と一緒に兄が「はーい」と言う。そしてインターホンの所から声が聞こえた。
『黎ちゃんいますかー??』
予想外の訪問者に思わず口に含んでいた牛乳を出しそうになる。危なかった。
ゆっくり飲み込んで深呼吸する。
私は口についた牛乳をティッシュで拭いて、玄関に向かい、靴を履いて外に出た。
松慎くんは私の顔を確認した途端満面の笑みに変わった。とても嬉しそうな笑顔。
満面の笑みに圧倒され、少しおずおずと言ってしまう私。誰もがこの満面の笑みに困惑するだろう。
反応に困るし、とても輝くような笑み。
そう言って微笑む松慎くん。
そしてまたも驚くべきことに気づく。
松慎くんに自分の住所を教えていない。
そりゃそうだろう。初対面で住所言う奴なんて会社員以外どこにもいないだろう。
松慎くんが手を伸ばし、私の口元を手で拭いた。
「取れたあ。」と微笑んだ松慎くん。
私の頬は自然と熱くなっていた。多分今は顔中、耳まで赤いだろう。こんなこと初めてだし。
昨日とはいえ、今日とはいえ。
なんだ、あの恥ずかしい行動は。...松慎くんは恥ずかしいとは思っていないんだろうけど...私は十分恥ずかしい。
それが顔に表れている。
私の好きな人は3年生の先輩のはず。
なのになんで松慎くんにされたことで顔を真っ赤にしているんだろう、私は。
...多分それは私の恋愛経験が無いからだな。
ああ、どうか神様。
このストーカーイケメンくんをどうにかしてくれないだろうか...?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。