学校につき、校門に足を踏み入れた。
今日は登校する人が多い時間帯に来てしまったよう。周りの人たちはいつも独りぼっちの私の隣にイケメンがいるからざわついている。
人に見られるのは嫌だ。と、思った瞬間。後ろから走っている足音が聞こえた。
その途端、女子は悲鳴を上げた。...嫌な予感。
私は深呼吸をし、周りに叩かれてもいいような覚悟をして兄を見上げた。
どうやら、兄は私の隣に松慎くんが居たのを見て私が言ったストーカーだと判断したらしい。
そう言ったのにも関わらず、兄はワタワタとして松慎くんを睨み続けた。
松慎くんは松慎くんで「あー!!黎ちゃんのお兄さんだあ」と言っている。
更に私は周りの視線が痛かった。女子たちは完璧私を睨み続けている。
そう言っても2人がおちつく気配がない。
周りの人たちに見られていると言うことに更に私は焦ってきて、冷や汗をかいた。
...と、その時だった。
胸が高鳴ったのを感じた。
泉 綾斗。兄と同じ学年で...私の好きな人、と言えばわかるだろう。
時々暴れる兄のお世話係...のような存在だ。
突然話しかけられ、ものすごく驚く自分。
「あっ...はい!!」と戸惑いながらも返事をし、微笑んでくれたので微笑み返した。
少し面白くて小さく笑ったあとに、元気よく返事をした。松慎くんは少し悔しそうな顔をしていた。
兄は「綾斗も黎もなに言ってんだよ~...」と変な表情をして笑っていた。
...初めて、好きな人と話せた嬉しさで私は思わず跳び跳ねそうになったのは秘密。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。