第17話

17話
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2021/05/21 23:52


学園の大聖堂。
入学式の会場となっているここには、王侯貴族、 高名な学者や在校生など、数え切れないほどの人で埋め尽くされていた。

そして始まる入学式。
長ったらしい教師の話は右から左へ流していた。
だって聞く意味無くない?

やがて、新入生代表の挨拶へと順番は回っていった。

カリース ミハエラ
皆さん、こんにちは。
新入生代表のカリース・ミハエラです。

壇上に上がった優秀そうな男子。
貼り付けたような笑顔で模範解答みたいな挨拶を述べていった。

全てにおいて完璧.........と言えるけれども、あの男子は少し不気味だな。


入学式は、何も無いまま終わっていった。

その後、別室に案内されて、魔力測定の説明を受ける。
恐らく、私が魔力を操作することによって、完全に魔力量を誤魔化せる。

教師
まずはーーーーー!
モブ
はい!

私の番は、だいたい100番目くらい。
そのくらいなら、前の人物が全員偏った魔力量、なんてことは無い。
よし、いける。
教師
次、ラナ・リハイント!
ラナ・リハイント
はい。

魔力を測る水晶に手を当てて、調節した魔力をゆっくりと込める。

平均よりも少し高くしよう。
前の人たちの平均は、確か.........
教師
ふむ、1万5000か。優秀だな。
ラナ・リハイント
ありがとうございます。

うん、10分の1を目安にしたからね。
10分の1の魔力で優秀と言われるのなら、最大の魔力だと化け物か。

本当に、魔力を調節しておいてよかったと思う。

教師
次、カリース・ミハエラ!
カリース ミハエラ
はい。

あれは、確か、不気味な学年代表。
魔力まで高かったら、本当に怖いと思う。

教師
これは.........5万?!

教師が放った数字に、当たりがざわつく。
モブ
5万…?
モブ
それって、王宮の精鋭の魔法使いと同じくらいだろ?
モブ
あの子、凄いですね。

一方私はと言うと、カリースとやらをガン見していた。

は? は?は?は?は?は?
いやいや、おかしい。
こういっぺんに魔力5万以上のやつが現れるものなの?

カリース ミハエラ
これでも新入生代表なので。

そいつがにこやかにはなった言葉に少しゾッとした。
新入生代表と魔力量は関係ない。
貼り付けられたような微笑みと、完璧な力。
どうしても、あいつが何かしたのでは無いか、という考えが頭から離れない。
少し寒気がして、もうあいつから目を逸らし、早く帰りたいと願う。


今だけは、たとえあの腹黒王子でも早く会いたい、そう思ってしまう。
早く、この寒気をなくしたい。

ただ早く終われ、と願うことの他にできることは無かった。

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