え、断りたい。
断れないのかな、これ?
強制?多分強制だよな。
うわー!最悪じゃん!
え待って、これ私が相手するの?
えぇぇぇぇぇ……
そして半強制的な形で応接間まで向かわされる私。
ほんとに可哀想だと思うんだけど。
いきなり婚約とか、王子の相手とか。
てか結婚とかマジで無理なんですけどー!
…脳内で現実逃避している間に応接間についてしまった。
扉を開けるとそこには、ソファに座り、優雅にお茶を飲む王子の姿。
これぞ王座、というような気品がある。
私にはその気品は到底出せないだろう。
なんか護衛っぽい人と、執事っぽい人と、同い年なんじゃないか?って少年もいる。
来てるのって王子本人だけじゃないのかよ。
てかもう1人の少年誰だ!
…さて、さっきから余計なことをごちゃごちゃと考えて、現実逃避を行なっていたけれど。
王子の相手をしないわけにもいかないし、とりあえず近づくことから始めようか。
いや、婚約者になること確定かい。
こちらに拒否されるとか考えないのかな?
あ"?やんのかコラ!
王子が言うには、私が媚を売らなかったのが珍しく、面倒な女と婚約するよりも、私がいい…ということらしい。
え、私女よけ?
そんな面倒くさそうな役回り嫌なんですけど。
王宮の書庫?!
そんなの…そんなの……楽しみすぎる!
目の前の王子が作戦通りとでも言いたそうな顔をしているが、関係ない。
王宮の書庫に入り浸れる…!
つまりは知識をつけ放題!
あぁ、それだけでこの話、受けてよかった!
私はこのルイツアのセリフを完全に聞き流していた。
そう、“私を気に入っている”というセリフも………
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!